健康的な生活スタイルが認知症予防に役立つのは、遺伝的リスクの低い人たちのみ?

 アルツハイマー病ではAPOEε4が遺伝的リスク要因であることが知られ、ひとつ持てばリスクは3倍程度、二つ持てば11倍程度となることが知られている。その一方で、生活習慣もリスク要因であることが知られ、たとえばWHOの2019年、認知症および認知機能低下予防に関するガイドライン(https://higeoyaji.at.webry.info/201907/article_7.html)によれば、運動、禁煙が強く推奨され、地中海食、健康的でバランスのとれた食事、危険で害ある飲酒行動をやめたり減らしたりすること、認知的なトレーニング、過体重・肥満・高血圧・高脂血・糖尿病への介入が条件付きで推奨されている。
 ↓は遺伝要因と生活スタイル要因の交互作用を調べた研究。ロッテルダム研究の55歳以上の6000人について解析。望ましい健康要因や生活要因(例えば定期的な運動、健康的な食事、限定的なアルコール摂取、禁煙)について個々の参加者を点数づけ遺伝要因と合わせて検討。結果、遺伝的に認知症のリスクが低い人たちでは、望ましい生活要因の点数と、認知症リスクのさらなる低下との間に関連があったそう。遺伝的な認知症リスクが低い参加者であっても、生活要因の点数が望ましくないと、認知症リスクが高くなったそう。
 一方、遺伝的に認知症のリスクが高い人では、生活スタイルは認知症リスクに影響を与えなかったとか。つまり生活スタイルの改善は認知症の遺伝的リスクの低い人にとって役立つらしいとのこと。
 そうすると昨今話題の運動も健康的な食事も認知症予防に役立たない、認知症が潜在的に進行すれば運動しなくなり、ジャンキーな食を好むようになるという逆因果だ(認知症の予防に、食事や運動は役立たない??https://higeoyaji.at.webry.info/201904/article_11.html)といった研究は認知症の遺伝的リスクの高い人に成り立つ話、というオチになるのだろうか。
 まあ、こういう交互作用は、認知症に限らず、たいがいの障害では指摘されている話なので、有力と思っておいた方がよさそうだ。
Genetic predisposition, modifiable-risk-factor profile and long-term dementia risk in the general population.
Licher S, Ahmad S, Karamujić-Čomić H, Voortman T, Leening MJG, Ikram MA, Ikram MK.
Nat Med. 2019 Aug 26. doi: 10.1038/s41591-019-0547-7.

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