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<<   作成日時 : 2018/01/27 17:09   >>

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ぱちんこ関連のギャンブル等依存を議論するときに知っておくべき基礎データ

1) 総粗利 3.11兆円(2016年)
ぱちんこユーザーの年間損失額=ぱちんこ店がユーザーから得た金額。DK-SIS白書2016より。
総売り上げ20.1兆円は賞品提供分を考慮していない。総売り上げを遊技人口で割り一人当たりの消費額を議論するケースがマスコミ、国会、対策会議、専門家の論考等でも見受けられるが、賞品提供分を除いた総粗利が負け額に相当するので、ユーザーの損失を議論する場合はこちらで議論すべき。カジノ関連の顧客消費はこれにあたる。総売り上げではなく総粗利が顧客消費にあたるので比較するならこちら。

2) 時間粗利 750円(2016年)
ぱちんこユーザーが一時間遊技したときの損失額の平均。DK-SIS白書2016より。
4円パチンコは1150円、1円パチは350円、20円パチスロは800円、5円パチスロは300円。時間当たりの平均損失額は他のレジャーより少ないくらいなので、ぱちんこ関連の経済的な問題は、むしろ金銭管理問題。貯玉を利用するなど、勝ち分を負けの補いにストックしておくことが経済リスクを低減する。時間粗利に遊技時間をかければ平均的な損失額が得られるが、損失額は確率的な分布を示すので、その実態は3)に示した。

3) 負け額分布 
われわれは代表的な遊技機のシミュレーションデータと日遊協の遊技時間データを用いて、2015年のユーザーの負け額分布を推計した(2017年3月IRゲーミング学会誌掲載予定)。その結果、年240万円(月平均20万円)以上負けは1.1万人、年120万(月平均10万円)以上負けは38.5万人、年60万(月平均5万円)以上負けは170.5万人、年30万(2.5万)以上負けが532.6万人(この辺りが平均値、中央値になる)。なお、年間で勝ちとなったユーザーは90万人、100万円以上勝ちも8千人程度いたと推測された。ただし長時間ユーザーほど、パチンコではよく回る台を選択的に打つ、パチスロでは設定のいい台やチャンス時に打つようにするなど、リスク低減行動が行われている可能性があり、高額の負けはより少ないのかもしれない。

4) ぱちんこ関連のギャンブル等依存症(遊技障害)のおそれの数 40万人
日工組社会安全研究財団調査(2017)では、過去1年の遊技障害のおそれのある人は40万人と推計。一方、厚生労働省関連での久里浜医療センター調査(2017)では、過去1年のギャンブル等依存症のうたがいのある人は70万人、うち8割が主にぱちんこをしており、56万人が遊技障害のおそれのある人と推測できる。
しかし、久里浜調査はSOGS(5点以上)で調査しているが、SOGSはうたがい数が大きくなる傾向があり(Griffithsら2016)、実際、秋山らのROC曲線を使った検討で、ぱちんこの場合はSOGS(7,8点以上)が適当と結論付けており、SOGS(7,8点以上)に相当するカットオフ点をPPDS(パチンコ、パチスロ遊技障害尺度)のカットオフとして使用している社安研調査の40万人が正しいと思われる。
日本では、生涯にわたるギャンブル等依存症の疑い数320万人で報道、議論を行う場合が多々見受けられるが、生涯にわたるうたがい数は、かつて疑いのあった人を含む数字で、その人たちが亡くなるか、海外移住するかしない限り、累積していく数字なので、ギャンブル等依存対策を考える上では適切な数字ではない。実際、近年諸外国では、過去1年の疑いのみか、過去1年の疑いと生涯の疑いの併記が標準。
生涯でのギャンブル等依存症の疑いの数は累積的に増える性質のものという観点からみると、ギャンブル依存症議論の基礎データとなってきた久里浜2013年報告の536万人はおかしな数字ということになる。実際、諸外国で同じ指標を使った場合、生涯の疑いが減ったケースはGriffithsら(2016)を見る限りない。今後、久里浜による詳細な検討、論文化を待ちたい。そもそも2013年報告もきちんとした論文化されているわけではなく、Griffithsら(2016)の2000年から2015年の30か国、69件の世界各国のギャンブル障害有病率調査での検索でヒットしていないのもおかしな話だ。
なお、思考のとらわれ、嘘、行動の自己制御困難、借金のしりぬぐいを頼む、職業等の危機に瀕しているレベルのDSM-5、9点相当の遊技者は5万人以下(2〜3万人)と推測される。生涯の9点の疑いで5万人なので、過去1年ではその半分以下になると推測される。

5) ぱちんこ関連のギャンブル等依存症(遊技障害)の(自然)回復率 8割以上
「生涯にわたるギャンブル等依存症の疑いの数」から「過去1年のギャンブル等依存症の疑いの数」を引くと、かつて疑いがあっが、少なくとも過去一年はうたがいがない回復者(寛解者)の数が算出される。久里浜医療センター調べでは、320万人−70万人=250万人、が回復した人の数になる。これを320万人で割った77%が日本のギャンブル等依存症の回復率の推定値となる。また社安研調査では81%が回復し特別な相談や治療をした人は2%程度。
ギャンブル等依存症は薬物使用障害などと異なり、ある時期それらしくても回復しやすい。またはうたがわしい時やそうでないときを繰り返す流動性が高い。とくに日本またはぱちんこでその可能性が高く、ギャンブル等依存症対策を行う上でより予防(増悪予防を含む)が重視される。

6) 国際比較 日本のギャンブル等依存症数は平均的だが回復率はダントツに高い
Calado F, Griffiths.は Problem gambling worldwide: An update and systematic review of empirical research (2000-2015). J Behav Addict. 2016 Dec;5(4):592-613.で、2000年から2015年の30か国、69件の世界各国の全国ギャンブル障害有病率調査をまとめている。このデータと久里浜、社安研、両調査を比較して、日本のギャンブル障害(ギャンブル等依存症)の位置づけを示したものが以下。

1) 生涯有病率(生涯のどこかでギャンブル障害の疑い)
 12か国の報告、デンマーク(2006)0.5%〜韓国(2010)3.8%。平均1.51%、中央値1.05%。
 日本の3.6%(久里浜、2017)は、12か国では2位相当、韓国、エストニア並みに高い。ただし、この生涯有病率でギャンブル障害を論ずるのは適当ではない。

2) 過去一年有病率(最近一年間でのギャンブル障害の疑い)
 17か国の報告、オランダ(2011)0.15%〜南アフリカ(2001)4.80%。平均、0.88%、中央値0.50%。
日本の0.8%(久里浜、2017)は、20か国中で7位相当で、スウェーデン、オーストリア並み、平均的、もしくはやや高い。ぱちんこ分の補正を加えると、日本は0.5〜0.6%で20か国中10位相当、アイスランド、スイス、フランス並みで、平均的。
 DSM-5、2,3点相当の問題ギャンブラーの疑いでは15か国で7位相当、平均的。

3) 回復率((生涯有病率−過去一年有病率)÷生涯有病率×100で算出)
  生涯有病率、過去一年有病率がそろっていたのは7か国。フィンランド(2007)38%〜オランダ(2006)70%。平均57%、中央値56%。
  日本の77%(久里浜、2017)、81%(社安研)は7か国より高く1位相当。
    パチンコ・パチスロでのギャンブル障害は回復率が突出して高い可能性がある。

久里浜の調査(2017)では70万人のギャンブル障害の疑いのうち、56万人はパチンコ・パチスロによるギャンブル障害の疑いになるが、カットオフ点7,8点を採用するとおよそ40万人となり、パチンコ・パチスロに特化した社会安全研究財団調査(2017)の0.4%、40万人とほぼ一致する。
こう考えると、日本のギャンブル障害の疑いの数は修正が必要となる。過去一年でのギャンブル障害の疑いは、0.8%、70万人から、16万人(56万−40万)少なくなり、54万人、0.5〜0.6%程度となる。

7) 併存障害率 7割強
ギャンブル障害(ギャンブル等依存症)には併存障害が多い。Dowling NA et al.(2015)によれば、アルコール依存症 15.2%、薬物依存症 4.2%、大うつ病性障害 29.9%、双極性障害 8.8%、統合失調症 4.7%、パニック障害 13.7%、社交不安障害 14.9%、PTSD 12.3%、ADHD 9.3%、など併存障害全体では74.8%におよぶという。
宮岡らは、「病的ギャンブリング「いわゆるギャンブル依存」の概念の検討と各関連機関の適切な連携に関する研究、2013」(厚労科研調査)で、日本のギャンブル障害を以下に区分している。
タイプI(単純嗜癖型:特に背景要因がなくギャンブルにはまる)
タイプII(他の精神障害先行型:大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、不安障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、アルコール使用障害など)
タイプIII(パーソナリティ等の問題型:境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、アスペルガー症候群やADHD等の発達障害、もともとの生活上の問題、認知症、器質的な問題など)
すなわち、ギャンブル障害の問題をとらえる場合、併存障害のアセスメントは必須で、単純嗜癖型としてのみギャンブル障害のすべてをとらえようとすると弊害を生む可能性がある。また単純嗜癖が病的といえる段階に至る背景には併存障害、パーソナリティ、ストレス状況などを想定する必要がある。

8) 遺伝率 5割程度
Slutske WSら(2010)はギャンブル障害(ギャンブル等依存症)のリスクに関して双生児研究を行い、リスクの分散の49.2%が遺伝的影響で説明され、ここに男女差がないことを示した。また、残り約50%が環境要因であるが、共有環境(互いを似せる方向に働く環境:ほぼ家庭環境)の影響は0%で、環境は非共有環境(互いを似せない方向に働く環境)として影響することを示した








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