カジノの賭け額の実態(シンガポール2014)

 シンガポールでは住民のギャンブリング状況やギャンブリング障害(いわゆるギャンブル依存)の調査が、2005、2008,2011、2014と、national council on problem gambling によっておこなわれているそうです。
 それによれば、ギャンブリングをする人の月の賭け額の中央値は、2011の$40から、2014では$20に、平均値は$212から$70に減っているそうです。このうちギャンブリング障害の疑いのある人も、中央値が$581から$313、平均値が$1713から$313に減っているとのこと。
 ここで注目しておきたいのは、「ギャンブル障害(いわゆるギャンブル依存)の疑いのある人」でも月3万くらいの賭け額だということです。この事情は日本のぱちんこでも同じで、「約530万人がギャンブル依存の疑い」というのをパチンコユーザーの負け額に当てはめると、月2万負けに相当します。
 IRを考えたり、ぱちんこや公営ギャンブルを考えたりする場合に、ギャンブリング障害対策はきわめてだいじですが、しかし、月2~3万ギャンブリングに費やす人が「ギャンブル障害(いわゆるギャンブル依存)の疑いのある人」としてカウントされるのが実態であることはわかっていた方がいいでしょう。そうするとこの範囲のひとへの対策は予防的であるべきで、その中身は金銭管理であったり、安易に借金をしないことであったり、生活指導的な様相を呈してきます。一方、シンガポールでは月10万使う人が0.3%、日本のパチンコでは3.3%(38万人)おり、この層はマスコミ等で紹介されるようなギャンブル依存像にそこそこ近く、単純嗜癖型の対策(回復支援施設型)が一義的なのかもしれません。
 さて、ここで指摘しておきたいのは、従来、ギャンブリング障害は進行性で不可逆的、つまり治らない病気だとされてきましたが(ずいぶん昔に)、現在では自然治癒例が多く報告されていることです。また断ギャンブリングを最優先すべき群はギャンブリング障害の10-60%と見積もられており、発達障害が背景にあるような場合では12ステップ的ミーティングが合わないケースも多々あることです。とりあえずはステレオ対応化した情報に接した場合は、数値のチェックをしましょう。
 さて、ギャンブリング障害最大の問題は、決定的な治療法がないことです。だから医療者は回復支援施設に頼らざるを得ないわけですが、すでに指摘したように、少なくとも日本では自然治癒が思いのほか多く、回復支援施設の効果をわかりにくくしています。そのため、依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会報告書概要(平成25年)などで、「関係機関で提供される回復プログラムについて、国と関係機関が連携して、当事者が必要な回復プログラムを受けられるような環境整備が望まれる」「 国の支援により、関連団体が患者の個別の状態像に応じた回復プログラムの研究・開発が期待される」としながらプログラムの実証的な研究開発はそう進んでいるとは言えません。そして回復支援施設の月額利用料は16~20万程度。回復施設が実証データを出し、そういうエビデンスを出そうという団体に国や関連団体が支援する体制が早急にできていくのが、厳しいギャンブリングの問題を抱える本人や家族にとって望ましいわけです。
 聞くところによれば、その方向のアクションが厚労省主導で起きているとか。そこに期待したいです。

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