愛は筋肉を若返らせる

 オキシトシンは、愛着ホルモン、信頼ホルモン、絆ホルモンなどと呼ばれ、やさしくタッチンぐされたり、信頼できる人の声を聴いたり、ペットと戯れたりすると分泌が増すことが報告されています。また、オキシトシンのスプレーを鼻に噴射することで、相手を信頼しやすくなったり、自閉症スペクトラムでは、相手の気持ちが読みやすくなったり、コミュニケーショントラブルが減ったりすることも報告されています。
 興味深いことに、↓によれば、そのオキシトシンが、老化に伴う筋機能の低下を防ぐ作用もあることがマウスの研究で明らかになったそうです。損傷を受けた骨格筋組織が再生する能力は、年齢とともに低下し、筋組織は徐々に失われていきます。そしてその一因が、老化した組織中で筋幹細胞が阻害され、筋再生が困難になることだと考えられています。Wendy Cousinたちは、雄のマウスで、オキシトシンの血中濃度が年齢とともに低下すること、また、老齢マウスにオキシトシンを投与すると、骨格筋の再生能が回復することを明らかにしました。さらに、オキシトシンを産生できない雄のマウスでは筋肉の老化が急速に進行することも明らかにしました。
 オキシトシンは、既に陣痛促進剤として臨床での使用が承認されていますから、ヒトでもこの作用が確認されれば、筋の老化を防ぐ有力な方法としてオキシトシン投与が浮上するかもしれません。また、愛や絆があれば筋肉は元気、などという極めて道徳的な結果が発見されるかもしれません。それは愛情を与えられない子供の発達不全の一部を説明するロジックにもなりえます。
ちなみにオキシトシンは、キスで男は26%増え、女性は213%増えるとか。男は他人に身を任せるスカイダイビングで230%増えたそうですから、ワンピース的世界は筋肉を元気にしてくれるのかもしれません。
Oxytocin is an age-specific circulating hormone that is necessary for muscle maintenance and regeneration.
Elabd C, Cousin W, Upadhyayula P, Chen RY, Chooljian MS, Li J, Kung S, Jiang KP, Conboy IM.
Nat Commun. 2014 Jun 10;5:4082. doi: 10.1038/ncomms5082.

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