「はげひげ」の脳的メモ

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zoom RSS コンプガチャに限らずよくできたゲームの仕組みはドーパミン神経を効率よく刺激します。

<<   作成日時 : 2012/05/09 00:34   >>

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以下は、5月号掲載の日遊協連載の抜粋(4月15日脱稿)にその後のコンプガチャ規制の展開を少し付け足して書いたものです。
・・・・・さて、ソーシャルゲームの躍進を支えているのは報酬依存性や損害回避性の満たしやすさだけではありません。ゲームには明確なゴールがあり、守るべきルールがはっきりしています。しかもプレイヤーの今の状態を正しく伝えるフィードバックシステムがあるためにやる気や意欲が持続しやすく、また現実以上に手ごたえのある自己成長感を獲得できるのです(9)。「いい」ゲームはドーパミン神経を効率よく刺激するのです。それを加速しているのがアイテム課金方式とその「くじ」化、確率化です。
 従来のゲームは月額などの定額制でした。しかしソーシャルゲームの多くは参加無料でユーザーのすそ野を広げ、代わりにゲーム内アイテムに課金しています。課金されるアイテム、ゲーム内のバトルや狩り、謎解きや課題解決などのクエストで入手できるもの以上に性能が高いアイテムであったり、ゲーム内では手に入りにくい、あるいは絶対に手に入らないレアなアイテムであったり、キャラクターの服装や髪型など見た目を変えるアバター関連アイテム、ファッションアイテムであったり、経験値獲得効率がアップするアイテムであったりと、ゲームをしていればぜひ手に入れたいアイテムです。そう設計するのがクリエイターの腕です。
 そしてプレイヤーは、現金、電子マネー、プリペイドカードなどでポイントを購入し、このポイントでアイテムをゲットします。あるいはこのポイントでアイテムくじを購入します。そうすると当然のことながら、レアアイテムを現金で売り買いする「リアルマネートレード問題」が出てきます。
 たとえば、グリーの「探検ドリランド」はプレイヤーがさまざまな効力を持つ「ハンターカード(アイテム)」を駆使してお宝を集めるゲームですが、今年の2月、カードを不正に複製できるバグがユーザーによって発見され、入手困難なレアカードを複製して「Yahoo!オークション」などに出品する事態が発生しました。数万から数十万位なったカードもあったそうで、アイテム課金が潜在的に持つ換金性に注目が集まりました。グリーの発表はこの事態を受けての自主規制でもあります。
 注目すべきはアイテムくじです。「ガチャ」です。「ガチャ」という名前は、スーパーのゲームコーナーや100円ショップなどの入り口においてある「ガチャガチャ」に由来します。あれがソーシャルゲーム内にあってアイテムくじを手に入れれば「ガチャ」が出来、当たればレアアイテムが出てくるわけです。
 この連載ですでに紹介しているように、報酬を確率的に与えると(ギャンブル課題化すると)、やる気や意欲にかかわる脳の線条体におけるドーパミン神経の活動が大きくなり(5,6,7,8)、その行動が繰り返されやすくなります(強化学習)。たとえば予告信号が出てから報酬が出る場合、腹側被蓋から快感の中枢、側坐核(腹側線条体)に向かうドーパミン神経のI型(52%)は報酬によって活動し、また予告信号でも活動しますが、得られるはずの報酬が得られなければでは活動しません。つまり予告でドキドキし、期待を越えた結果で興奮、期待外れでがっかりする報酬誤差をT型が表現します。一方、II型(31%)は予告信号と報酬の間でドーパミン神経の活動を高めます。つまり予告から結果までの期待感を表現しています(報酬期待)。III型(18%)は逆に期待感を低くする調整をします。こうやってドーパミン神経によって予測の快、結果待ちの快、結果の快が表現され強化学習が行われるのです(10)。
 ソーシャルゲームには「コンプガチャ」といって、手に入れたカードなどのレアアイテムが数種そろうとコンプリート(完成)する、昔のビックリマンチョコのような仕組みが組み込まれています。この仕組みでは強化学習がよりすすみます。最初は比較的簡単に手に入るレアカードが、手に入れるごとに残りのレアカードが出る確率が小さくなり、完成へ近づくことで報酬期待を高めながら、手に入りにくいことで渇望感をより強め、ドーパミン神経の活動をさらに大きくするからです。また、期間限定アイテム、ある期間で当たり確率が○○%アップなどの工夫もドーパミン神経の活動を高めます。
 ・・・・と4月15日に入稿したのですが、5月5日に、消費者庁はコンプガチャは景品表示法で禁じる懸賞にあたると判断して注意を喚起し、ゲーム会社が中止しない場合は、景品表示法違反で措置命令を出すとの報道じられ、これを受けて5月7日の株式市場でグリー、DeNAなどのソーシャゲーム関連株がストップ安となり、ソーシャルネットワークサービス関連株も暴落しました。5月5日の段階で消費者庁がどこまでの判断をしていたのかは不明な点も多いのですが、コンプガチャ禁止の方向は確かなようです。そしてその理由のひとつが「射幸心をあおる」。ドーパミン神経を効率よく刺激して過剰な金銭消費を促す可能性をそう呼ぶのなら、その通りでしょう。
・・・・ソーシャルゲームにせよ、ぱちんこにせよ、確率的な「強化学習」がその躍進を支えていますから、その躍進は依存問題や「勤労その他正当な原因によるのでなく、単なる偶然の事情により財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害する」という最高裁判所昭和25年11月22日判示にぶちあたる可能性をはらむのです(もちろん、この勤労観がおかしく、現実世界こそハラハラドキドキでき、目標達成感があるように修復!すべきだという「幸せな未来は「ゲーム」が創る」ジェイン・マクゴニガル(早川書房2011)的なロジックも可能ですが)。
 だからこそ、ソーシャルゲームでは冒頭のような自主規制やリアルマネートレードの禁止を打ちださざるを得ないわけですし、消費者庁などもコンプガチャの規制やさらなる規制を視野に入れていくわけです。また、ぱちんこでは18歳未満が禁止だったり、射幸性の高い機種の規制が行われたり、広告規制の厳格化が行われるたりするわけです。そしてどちらの業界もすぐれた強化学習システムをつくり上げればつくりあげるほど、社会的な破綻がチェック項目の半数近くを占める依存症の予防対策がますます必要になるのです。特にリアルマネートレード問題を露骨に抱えているぱちんこ業界は、この連載で繰り返し主張しているように、依存症の一次二次予防(チェックリストの張り出しなど)をソーシャルゲーム以上にしっかり行っていく必要があるのです。

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