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zoom RSS 嗜癖行動(いわゆる依存)の後天遺伝

<<   作成日時 : 2017/06/06 00:30   >>

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 以前、このブログで、「トラウマは世代をまたぐ、幼児虐待は三代たたる?」(http://higeoyaji.at.webry.info/201404/article_10.html)、あるいは、「トラウマも、メタボも三代たたりうる」(http://higeoyaji.at.webry.info/201607/article_6.html)といった研究を紹介した。精子のマイクロRNA、ミトコンドリア、DNAメチル化などを介した、エピジェネティックな後天遺伝の例だ。
 ↓は嗜癖行動(いわゆる薬物依存など)が精子におけるDNAメチル化を介して、脳の報酬系の活動に影響を与え、後天遺伝しうることを示した研究。
 もともと双子研究や家族内嗜癖行動集積性などから、例えばアルコール使用障害の遺伝率は54%、大麻は44%、ギャンブリング障害は49%といった報告があり、この遺伝率は通常、当人がうまれながらに持つ遺伝子の組み合わせの影響に当たるとされるが、父親が後天的に獲得したコカイン探索行動がDNAの組み合わせではなくその発現にかかわるメチル化過程によって精子を介して伝わりうるというもの。
 Lan Maらは、雄のラットをコカイン探索への動機付けが強いグループと弱いグループに分けた。そして子孫を観察したところ二代目、三代目でも、コカイン探索への動機付けの弱いグループでは、過去の研究報告同様、コカイン探索への動機付けレベルが高くなることに対する抵抗性が備わっていた。しかし、コカイン探索への動機付けの強い雄のグループでは、子孫の薬物嗜癖への動機付けレベルが高く、薬物嗜癖に対する抵抗性が弱かった。
 コカイン探索への動機付けの高い雄のマウスと低い雄のマウスでは、精子におけるDNAメチル化部位が異なっており、こうした差異の一部は、仔の精子においても維持されていた。また、脳の報酬回路の一部である側坐核の遺伝子発現も、コカイン探索への動機付けの高いマウスと低いマウスの子孫で異なっており、これが精子におけるDNAメチル化パターンの差異と相関したそう。
 つまり、嗜癖行動の遺伝性には、DNA自体のほか、エピジェネティックな後天的遺伝経路があり、雄の嗜癖行動が精子を介して伝わりうるわけだ。嗜癖行動と脳のかかわりとして、しばしば依存の度合いが高まると他の事柄に対する報酬系の活動が低下することが報告されているが、これは嗜癖行動の深化によって起こるだけではなく、そうなりやすい人が嗜癖行動によって相補的に強化していく可能性があるわけだ。たとえば「薬物で脳が〜となるのか、脳が〜だと物質使用障害に脆弱性を持つのか。後者ルートを示したパネル調査。」(http://higeoyaji.at.webry.info/201703/article_2.html)もそういった方向を示す研究。
Drug-seeking motivation level in male rats determines offspring susceptibility or resistance to cocaine-seeking behaviour
Qiumin Le, Biao Yan, Xiangchen Yu, Yanqing Li, Haikun Song, Huiwen Zhu, Weiqing Hou, Dingailu Ma, Feizhen Wu, Yuqing Zhou & Lan Ma
Nature Communications 8, Article number: 15527 (2017)
doi:10.1038/ncomms15527

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