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zoom RSS ギャンブリング障害(いわゆるギャンブル等依存症)報道ではエビデンスレベルを考慮すべきだ。

<<   作成日時 : 2017/02/18 10:50   >>

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 ギャンブリング障害(いわゆるギャンブル等依存症)報道ではエビデンスレベルを考慮すべきだ。「わたしは〜だった」「私の知っている〜は〜だった」という体験談等(ケーススタディ:レベル5:下記参照)でギャンブリング障害(http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html参照)を議論してはいけない。
 たとえば、「ぱちんこにハマっている人は最初に大勝ちしている」という観察があったとする。あるいは「私は最初に大勝ちした」というギャンブリング障害体験者の話だ。
 これは症例研究(ケーススタディ:レベル5)にかろうじてあたる。かろうじてあたるし、ぱちんこをしたことのない人と比較すれば、この観察は真にみえる。その意味では症例対象研究(なっている人と、なっていない人の他の条件をできるだけ一致させて、過去を振り返って比較する研究:レベル3)にもみえるし、症例対照研究としても真に見える。しかし、この場合、非症例として検討しなくてはいけないのは、同じ条件だがギャンブリング障害にならなかったユーザーだ。でなければ、その差にはギャンブリングをしているかしていないかの要素が混入してしまう。
 そしてそういう調査で議論するにしても、そのレベルは3に過ぎず、考慮してもいいレベルにすぎない。たとえば上記観察が臨床研究的にその結果を伝えなくてはならないレベルであるには、条件を一致させた被験者をランダムに分け、一方は大勝ちさせ、一方はさせないことで、その後を一定期間観察し、ギャンブリング障害のリスク尺度での比較をおこなわなければならない。ちなみに薬の認可ではこうした研究によって、副作用のなさ(第1相試験)、小規模集団での効果(第二相試験)、大規模集団での効果(第三相試験)が認められなければならない。そして認知症治療薬などではそのトライアルは死屍累々だ。
 とはいえ、こうしたランダム化比較試験はギャンブリング障害では行いにくい。だからせめてパチンコユーザーを前向き(未来に向けて)観察調査し、統計学的技術で他の要因の影響の除去を行って、ターゲットとする要因の効果を議論する、レベル2のコホート研究が必要なのだ。ちなみに生活習慣病、認知症などでは、久山町スタディ、高山スタディなどたくさんのコホート研究が行われている。
 マスコミの皆さんは少なくとも証拠には以下のようなレベルのあることを把握したうえで(エビデンスレベルを考慮したうえで)、体験談、専門家の話を扱うべきだ。特にギャンブリング障害の報道では、「体験談」+「相関研究に過ぎない統計」+「専門家コメント」、での紙面構成が多く、これではミスリードだと批判されてもいたしかたない。「専門家」も本来は「ただしこれは相関研究に過ぎない」「〜の限界を持つ見解だ」など付け加えなければいけないし、海外での科学的事実報道記事は、相反する見解を持つ専門家の意見を併記するのがたしなみだ。
 「体験談」を語る人にこうした知識がなく語るのは致し方ないにしても(将来的にはこうしたエビデンスリテラシーを教育で徹底させるべきだが)、メディアの方々は最低限エビデンスレベルに配慮した報道姿勢を持つべきだ。体験談を語る人が回復支援施設関係者(世間から見れば専門家)の場合も同様だ。
 ケースはどこまでいってもケースで、その見解や対処法をあてはめたとき、どんな副作用を生じるのかわからないから、下記のレベル判定が臨床的に重要だということになってきたのだから。
 最近、ある会合で大手メディア出身のぱちんこ業界関係者が延々とケースを語り始めるのを経験し、これはメディアはエビデンスレベル教育を受けていないのかと愕然とし、ならば大学の教養レベルの話だが、常識は伝えねばならないと、これをまとめた。またどこぞの医師会はそりゃ相関研究としてもまずくないか、というデータで国民向けの広報をはじめ、これが保健の先生を通して再生産されると思うと頭が痛い。

参考
(高いエビデンスレベル)
 1a:ランダム化比較試験のメタ解析
 1b:少なくとも一つのランダム化比較試験
 2 :ランダム割付を伴わないコホート研究
 3 :症例対象研究
 4 :処置前後の比較など、前後比較や対照群を伴わない研究
 5 :症例報告
 6 :専門家個人の意見、専門家委員会報告
(低いエビデンスレベル)

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