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zoom RSS パチンコ・パチスロ遊技障害対策私案(篠原)

<<   作成日時 : 2017/01/27 07:06   >>

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パチンコ・パチスロ遊技障害対策私案(篠原)
http://higeoyaji.at.webry.info/201701/article_17.html
(メモ書きなので頻繁に更新します。ご覧になるときはリロードして最新版をご覧ください)

概要
パチンコ・パチスロ遊技障害(*1)対策のために、以下の施策を、専門家等の助言を得つつ、遊技業界が自主的に実行する(警察庁、厚生労働省などとも相談しつつ)。
その主軸は、「実態・要因調査→対策→評価・調査→対策・・・」のサイクルを構築すること。
そのための組織作り、予算的裏付けが必要。


項目
1)調査研究のさらなる充実、「実態・要因調査→対策→評価・調査→対策・・・」のサイクル作り、および、総論
2)パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)を使ったホールでの調査、対策の実施(メーカーメンバーサイトも利用)
3)タスポ的システムの導入による縦断的な遊技障害予防システムの構築
4)のめりこみ対策ガイドラインの改定と実効的施行の管理体制の構築
5)リカバリーサポートネット(RSN)への支援強化および追跡調査
6)回復支援施設への助成および予後調査
7)全国ホールの健康支援施設化
*1〜4は→http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.htmlを参照してください。
*1:ギャンブル依存、ギャンブル依存症、あるいはパチンコ依存、パチンコ依存症という言葉を使わず、「遊技障害」という言葉を使う理由
*2:PPDS
*3:知識・スキル調査例
*4:もともとの生活上の問題、行動傾向、暮らしの現状調査例
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1) 調査研究のさらなる充実、「実態・要因調査→対策→評価・調査→対策・・・」のサイクル作り、および、総論

社会安全研究財団による調査
 厚生労働省のアルコール使用障害についての研究班によるSOGS(South Oaks Gambling Screen)を用いたギャンブリング障害実態調査によって、ギャンブリング障害の疑いがあるものが536万人に及ぶとの推計が報告された。これを受け、日工組社会安全研究財団は研究班を立ち上げ、パチンコ・パチスロに特化した全国調査を行うべく、遊技障害尺度(PPDS*2http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html参照)を作成した(秋山ら パチンコ・パチスロ遊技障害尺度の作成および信頼性・妥当性の検討 精神医学58(4)307-316,2016)。DSM-5(アンケート、構造化面接)、SOGS、PGSI、AGRIによって信頼性・妥当性を検証し、現在9000人規模の全国調査に入っている。
 この過程でPPDS短縮版の作成(秋山ら パチンコ・パチスロ遊技障害尺度の短縮版の作成 精神医学38(12)993-998、2016)、カットオフ点(DSM5の構造化面接を基準とした場合のカットオフ点)の検討、ハイリスク制限(これ以上の遊技で遊技障害リスクが高まるポイント)の検討などが行われた。
 投稿中の論文が多く、詳細は述べられないが、
 パチンコ・パチスロ遊技においてはSOGSのカットオフ点がギャンブリング障害で想定されているものより2,3点高い方が妥当(SOGSを使った調査での依存の疑いの人数がパチンコ・パチスロでは過大評価されている可能性)、一方、PGSIは3点甘く、ギャンブル障害と遊技障害は別物として扱ったほうがいい側面もある。
 自然回復・寛解が多く過去にギャンブリング障害の疑いがあった場合も現在ギャンブリング障害の疑いがあると評価されてしまっている(この点はある12か月について聞くDSM5でも同様の問題があり、ギャンブリング障害対策の時系列的な評価を行う場合、「ここ12か月」など期間を限定する調査でないと意味がない)。
 遊技障害リスクが最も高まったのは爆裂CR機全盛の20年前であったらしい。
 従来の尺度では月2〜5万円の負け額で遊技リスクが高まることになる(月負け額/総家計収入:0.003〜0.005:総家計収入を700万とすると2万〜3.3万、1000万で3〜5万)

 ・・・などの成果(ただし相関研究)が、お茶の水女子大のチームを中心に得られている。
 森山の症例報告(後に述べるエビデンスレベル参照)によれば(2008)、ギャンブリング障害の受診者像の平均は、「20歳でギャンブルをはじめ、28歳で借金を開始、受診は39歳、つぎ込んだ平均1293万」だという。約10年で1293万だとすると、年120万円くらいとなる。後に述べるが、われわれの推計では、この額がすべてぱちんこの負けに由来するとすれば約38万人いると推測される。またぱちんこの時間粗利(一時間当たりの客の投資額-回収額)は平均800円ほどで、4円パチンコでも1000円超くらいなので、仮に一時間平均千円負けるとすると、週25時間遊技していることになる。それを10年続けると問題が生じるというのが森山の指摘で(10年続けて問題が生じないケースが想定されないのは研究スタイルの問題点)、そうだとすれば、そうしたユーザーをどういう方法でスクリーニングしていくのかがだいじな課題となり、またその対策は急務ということになる。
 一方、月2〜5万の負けで遊技リスクが高まり、森山の平均的なギャンブリング障害像に当てはまるとすれば、勝ち分をすべて消費し負け額だけが積算されていく、他のギャンブリングにも手を出す、借金の利子がかさむ、といったプロセスが必要となる。したがって、軽度の遊技リスク者への対応としては、勝ち額をストックする、収支をつける、他のギャンブリングに手を出さない、謝金をして遊技をしない、等のアドバイスが重要となろう。さらに、そもそもそうした資金管理を10年におよび続けてしまうような、元来の金銭管理の苦手さや、先を見通す力の欠如など、発達上の問題なども何らかの形でスクリーニングする必要があろう。

要因調査にはパネル調査が必要
 さて、この研究班では、遊技障害の要因を検討している。要因を論じるには、最低限、個人を追う縦断的な調査が必要である。横断的な調査では相関関係しか論じられないからだ。例えば、月使用額が多いと遊技リスクが高まるといった相関関係が認められたとしても、使用額が多い人の方が少ない人より、その後遊技リスクが高まっていく、月使用金額の増加と遊技リスクが相関する、といった時系列の関連が見いだせなければ、月使用額が遊技リスクを高める要因とは言えない(ここまで紹介した研究はほぼすべてこの限界を抱えている)。
 そこで、研究班では、要因検討のために繰り返し測定を行うパネル調査が数本計画されており、近々実行される。そこでは、ADHD傾向、自閉症スペクトラム障害傾向、衝動性、不安、認知のゆがみなど、従来のギャンブリング障害研究で指摘されてきた要因のほか、両価性、遊技環境安全な遊技スキルの持ち合わせ、確率的知識(*3 http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html)などが、増悪要因や改善要因となりうるかが検討される。さらに、遊技障害の背景要因として回復支援の現場などから指摘されつつある、発達の問題、もともとの生活上の問題、行動傾向、暮らしの現状(*4 http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html)、認知の凸凹などとの関連も検討されていく。
 全く実証できていない話に過ぎないが、個人的には、「もともとの生活上の問題、行動傾向、暮らしの現状(*4http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html)」がギャンブリング問題解決の最大のキーだと思っている。「もともとの生活上の問題や行動傾向」にあわせて暮らし、仕事、余暇の立て直しをはかるのが、ギャンブリング問題の解決に役立つと考えているわけだ。そして、ギャンブリング自体の問題は副次的、もしくは主要な原因の一つではあっても、解決を考えた時にはそう役に立たないのではないかと考えている。
 ただし、ここには個人的なバイアスがある。わたしは学生相談室業務も長いが、そこではソリューションフォーカス系の対応を主としており、ソリューションフォーカス系の依存対応では、解決に役立つリソース探しが主軸となり、結果、ギャンブリングの問題は解決に役立つ状況なら使うし、使いにくければ使わないといった扱いになりやすい。なじみの対応のバイアスは否めない。
 ここで抑えておくべきことは、臨床研究には以下のようなエビデンスレベルがあることだ。エビデンスレベルの低い資料で考察しても臨床上の意味は少ない。残念ながらギャンブリング障害では、ランダム化比較試験はほぼ行われていないので、せめてコホート研究(縦断的追跡調査)のレベルをもって施策を打てるようにしていく体制を整えるべきである。専門家の意見などはエビデンスとしては最も低いレベルであり、無視してもよいレベルに過ぎない。
(高いエビデンスレベル)
 1a:ランダム化比較試験のメタ解析
 1b:少なくとも一つのランダム化比較試験
 2 :ランダム割付を伴わないコホート研究
 3 :症例対象研究
 4 :処置前後の比較など、前後比較や対照群を伴わない研究
 5 :症例報告
 6 :専門家個人の意見、専門家委員会報告
(低いエビデンスレベル)

遊技障害対策では背景要因の考慮が不可欠
 なお、行動遺伝学ではギャンブリング障害の遺伝率が双子研究などから推測されており、遺伝率は50%程度と見積もられている(Arch Gen Psychiatry. 2010;67(6):624-630)。生まれながらに持つDNAの組み合わせでPPDS的な指標の分散を説明できる率が50%ということだ(共有環境0%、非共有環境50%。アルコール使用障害は遺伝率54%、共有環境14%、非共有環境33%。ギャンブリング障害では環境が互いを似せない方向に働くということ)。したがって、ギャンブリング障害対策(予防や治療)が、誰に対しても一律であるはずがなく、個々人の素因等に応じた個別的なものにならざるを得ないことが予測される。
 すでに宮岡らにより、日本のギャンブリング障害は、タイプT(単純嗜癖型)、タイプU(他の精神障害先行型:大うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、アルコール使用障害など)、タイプV(パーソナリティ等の問題型:境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、アスペルガー症候群、ADHD、認知症、器質的な問題など)に分けた対応が提案されており、この点からも、個別的なアセスメントや対応が求められる(宮岡ら、病的ギャンブリング「いわゆるギャンブル依存」の概念の検討と各関連機関の適切な連携に関する研究、2013)。ちなみに大うつ病の有病率は7%程度、双極性障害0.6%、統合失調症1%、不安障害12,3%、自閉症スペクトラム障害1%、ADHD2.5〜5%と少なくない。

ユーザーの負け額の実態
 さて、研究班では、遊技者の実際の年間負け額推定をシミュレーターなどを使って行っており、24万以上負けが530万人、60万以上負けが160万人、100万以上負けが65万人、200万以上負けが35000人と推定している。
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 こうした具体的な遊技実態が遊技障害リスクとどうかかわっているのか、実態を踏まえたうえでの対策立案が必要で、そのための基礎資料が蓄えられつつある。厚生労働省研究班によるギャンブリング障害調査(構造化面接調査)も実施されるので、これらを併せて、エビデンスに基づく、遊技障害予防対策、回復支援対策が検討されていくこととなろう。
 佐藤らは遊技障害を持つ者に認知の凸凹があり、その把握(WAISなどによる)が回復支援に役立つと考えている。認知の凸凹など発達障害的な問題は累犯でも指摘されつつある問題なので、遊技障害による犯罪の未然防止を考える上でも認知の凸凹と遊技障害の関連はぜひ調べておきたい。ある回復施設で犯罪歴のあった利用者は、知的障害、境界知能、ASDのいずれかに該当していたとの指摘もある。

ホールでこそ縦断調査を
 さて、専門家による調査研究と並んで、むしろそれ以上に遊技障害予防対策として重要なのは、各ホール、チェーンによるPPDSや要因調査であり、縦断的なユーザー調査および対策の実行である。生活習慣病、認知症予防などでは久山町スタディ、高山スタディなどのような地域住民の縦断的疫学調査が、要因⇔対策の連環を作るうえで重要であるのと同様である。
 各ホールがユーザーのリスク要因を社会安全研究財団調査などを参考にしつつ仮設し(*2,3,4のような、http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html参照)、各ホールで調査を行い、ホール独自の対応策を練り、その効果の評価を行っていく。依存、病気などいうと手に負えないように思ってしまうが、*2に示したPPDSに答えるだけでも予防効果が期待できるし、*2中のアドバイス案のようなものを個別に返す、ポスター等で張り出すなどでも予防効果が期待できる(http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html参照)。こうした体制作りこそがだいじで、その体制が作り上げられれば世界最高水準の遊技障害対策として誇ることが出来よう。
 のちに述べるが、タスポ的な会員カードシステムを導入し、遊技者の遊技状況データ(何を打っているのか、どのくらいの頻度か、使用額か、差玉はどうか、遊技機種は?、高貸・低貸?、平均時間粗利はなど)およびPPDSデータなどを縦断的にとれる仕組み作りがシステム的には最終的なゴールとなろう。このシステムに、様々な要因調査も可能な仕組みをのせ、その解析には人工知能をさしはさむなどして、随時、効果的な遊技障害対策をうてる体制を構築する。これが、個人の状況に合わせた一律でない遊技障害対策をタイムリーに実行していくうえで、もっとも先端的なシステムとなろう。このシステムによって、いわゆる射幸性が本当に遊技障害リスクを高めるのか、時間粗利が問題なのか、出玉の分散が問題なのか、遊技知識やスキルが問題なのか、それらが寄与度と合わせて論じられるようになる。
 過度期では「2)パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)を使ったホールでの調査、対策の実施」をすすめ、最終的には「3)タスポ的システムの導入による縦断的な遊技障害予防システムの構築」で全体施策、さらに各ホール、チェーンによる施策を立案していくのが、真の「4)いわゆる依存(のめり込み)ガイドラインの改定と実効的施行、その管理体制の構築」実行につながる。2)では共通サーバーにPPDS、各ホールのPPDS上昇要因仮説関係アンケート(*2,3,4のような http://higeoyaji.at.webry.info/201702/article_6.html 参照
)をアップできる仕組みを作り、各ホールが会員に配信、会員が任意に回答し、ホールがデータを検討、対策を打つ、といった一連の流れを構築するのが、「4)のめり込み対策ガイドライン」の実効性を高める上でも重要であろう。
共通サーバーを使う方法はたとえばメーカーのファンサイトでも運用できる。
 タイムスケジュールとしてはカジノの実際運用が予測される2022年までにはタスポ的システムを構築することが責務であり、各ホール、メーカーによる調査は早急に、共通サーバーを使う仕組みづくりはここ一年をめどに作り上げていくべきであろう。

健全パチンカー、コントロールユーザーの育成が大切
 こうしたシステムの運用は、同時に健全パチンカーとは何か、どういう遊技をしている人は遊技の問題を抱えなくて済むのか、コントロールユーザーでいられるのか、を明らかにするシステムでもある。健康にパチンコをするのに必要な認知や行動特性が明らかになれば、予防教育に役立つ。またどういった機種やホール内機種構成、低貸比率等が粗利をあげながら、かつ遊技リスクを下げうるのかを明らかにしうる。さらにこのシステムはユーザーの生活習慣病予防、認知症予防などの健康サポートシステムとして利用されうるし、ユーザーの健康意識の向上こそ、遊技障害対策として重要なのではないだろうか(7)。
 これらは主に二次予防(一次予防は非ユーザー含む一般向け、二次予防はユーザー向け)の仕組みであるが、三次予防(問題を抱えつつある、あるいは抱えた人の増悪予防、回復支援)においても必要な仕組みである。リカバリーサポートネットの利用ユーザーのその後を追跡調査する、回復支援施設利用者の予後を調べるといった調査を継続的に行っていかなければ、無駄な助成、形だけの自己満足的な助成に陥ってしまう。実効性の担保が必要である。
 ここで付言しておきたいのは、ギャンブリング障害、とりわけパチンコ・パチスロ遊技障害の実態はよくわかっていないということである。佐藤のまとめによれば、ギャンブリング障害は、「病気である」VS「病気であると言い切ってしまうことは問題」、介入の仕方としては「やめてもらうしかないことをわかってもらう」VS「本人が困っていることに寄り添う」、「安易に借金に対応してはいけない」VS「早期に対応すべき」、「自立を促すべき」VS「必要なサポートを行うべき」、など、その理解と対応の仕方に関して対立した考え方が存在している。だからこそ、エビデンスの確立を目指す調査体制の構築が大事なのである。
 一般向けのギャンブリング障害予防教育(一次予防)でもエビデンスに基づく教育が行わなければならない。単純に「病気」「危ない」という「ギャンブル依存」予防教育が望ましくないという考え方や証拠は、1980年代からの単純な禁煙教育、薬物乱用防止教育がライフスキル教育(http://www5c.biglobe.ne.jp/~jkyb/lifeskills1.htm)へ抱合された流れの中で示されてきたことでもある。ギャンブリング障害予防教育はライフスキル教育であるべきで、Disordered Gambling(社案研翻訳中)あるいは「ギャンブル依存と生きる」(稲村厚著)レベルからのギャンブリング障害予防教育(進行の予防も含む)が必要であろう。それは、発達の問題、貧困、虐待、低IQ、自制心の弱さなどを視野に入れ、犯罪問題も含む包括的教育となりうる(http://higeoyaji.at.webry.info/201612/article_22.html)。そのプログラム作りでは健康教育専門家の協力を仰ぐのも一つの方法であろう。またユーザーに対する予防教育としては、ほんもののパチプロによるリスク回避レクチャーなども重要となる(まわる台を打つ、高設定を打つ)。この点が他のギャンブリングと大きく異なる点となろう。

2) パチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)を使ったホールでの調査、対策の実施
 すでに述べたが、PPDS調査の継続的実施が、パチンコ・パチスロ遊技障害対策の基本となる。各ホールでPPDS調査と、社会安全研究財団からもたらされる要因調査結果、各ホール特有の事情から仮設できる要因を合わせて実施し、専門家の指導を受けながら、予防策を立案・実行し、その効果を検証していく。
 これらが、「4)のめりこみ対策ガイドライン」の実効性ある実行には欠かせない。またこの施策は「3)タスポ的システムの導入」の実現によって解消されていく。さらにこれらの縦断調査体制に「5)リカバリーサポートネット(RSN)への支援強化および追跡調査」「6)回復支援施設への助成および予後調査」での予防支援、回復支援の予後調査も統合していくことで、真に包括的な遊技障害対策システムが完成されていく。これらは健康教育支援体制の夢でもあるが、ホールでは実現できる可能性がある。これらの調査はメーカーのメンバーサイトを使っても可能であり、より網羅的な調査、対策が可能となる。
 そしてこうした活動を行うホール、メーカー名は遊技障害予防に積極的なホール、メーカーとして開示すべきである。

3) タスポ的システムの導入による縦断的な遊技障害予防システムの構築
 遊技障害の要因調査には縦断的調査が欠かせない。幸い、パチンコ・パチスロでは会員カードが普及しつつあり、このカードを差し込まないと遊技が出来ないような仕組みにすることで、遊技状況をほぼ完全に把握することができる。さらにこのカード挿入時の任意のタイミングでPPDS調査や要因調査を液晶上などでできるようにすれば、大規模縦断データが随時得られ、機械学習をさしはさむなどして適切なアドバイスをデータに基づき表示する仕組みが作りうる。また各ホールでの結果を示すことで、ホール独自の対策の立案、評価も可能となる。
 もしこの仕組みが出来れば、カジノも含んで最も先進的な遊技障害調査および対策の仕組みとなろう。またこの仕組みを貯玉システムと結び付けることで、貯玉、貯メダルを実効的に進めることができる。すると、勝った分使ってしまって、負けた分が積算され、金銭的なリスクを被るのを予防することもできる。この点、すでに設立されている貯玉補償基金(http://www.chodama.or.jp/pc/)が利用できる。

4) いわゆる依存(のめり込み)ガイドラインの改定と実効的施行、その管理体制の構築
 RSNの指導のもと、日遊協の依存問題PTで検討を開始し、その後、遊技産業活性化委員会のワーキンググループも加わり検討を重ね、パチンコ・パチスロ21世紀会が策定した「依存(のめり込み)問題対策ガイドライン」は、社会に向けた取り組み(1次予防)、来店者に向けた取り組み(二次予防)などを示し、「店舗経営企業の経営者に、依存(のめり込み)問題対応が企業の社会的責任であることを自覚し、社内に専任の担当者を置き、各店舗で実効ある推進体制の構築に努めること」を求めているが、実効ある推進体制が構築されているとは到底言えない。
 そこで、推進体制の構築をチェックする仕組みをRSNなどの協力を得てつくるなどが必要である。また、「依存(のめり込み)」問題は、のちに述べる社会安全研究財団の研究班によるパチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)など、「依存」という言葉を使わない流れも含めて、世界的に研究が進んでおり、依存(のめり込み)チェックリストのPPDSへの改定など、ガイドラインの全体的改定が必要である。
 なお、これらの事業には専門家の助言が必須であり、遊技障害対策全般を検討する委員会等を立ち上げ、予算面含めた提言を求める必要があろう。これはこの項に限った話ではなく、1)〜7)までを進めていく外部専門家機関の立ち上げが急務となろう。最終的には2)3)の実行が各ホール、チェーンでののめり込み対策ガイドラインの実効性を高める手段となる。
 2)でも述べたが、ガイドラインを実行しているホール、後の述べるようにメーカーもその名を開示し、たたえるべきであろう。

当面行うべき施策
・ホールにおけるRSNポスターの設置の徹底
・メーカー、販社等HPでのRSNポスター掲載
・共通標語「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう」の活用の徹底。
・自己診断チェック表の改定(PPDS化)と自己診断チェックのホール実施
・自己申告プログラムの公知、普及(公知自体が予防対策)
研修計画の立案
・目標設定→現状レベルの確認→教育体系の検討→研修プログラム・計画策定→研修計画実施→研修効果の検証
・業界団体によるホールオーナー研修、幹部研修、店長研修、従業員研修などの実行
これらの実行状況についてオープン化する体制づくり(実行ホールの開示) 

 メーカーもこれに準じ、メンバーページなどを利用して自己診断の実施、仮設的な要因調査、そのデータに基づく対策立案を行っていく。実行メーカーの開示を行う。

5) リカバリーサポートネット(RSN)への支援強化および追跡調査
 RSNは無料の電話相談(問題の整理を行い、問題解決に必要な相談機関や社会資源を紹介、10:00-16:00)、人材育成サービス(セミナー、ワークショップ開催等)、社会資源ネットワーク化と育成支援(セミナー、ワークショップ開催等)、情報発信・啓発・広報(ユーザー啓発用ポスター、従業員啓発用ポスター、リンク用バナー、のめり込みチェックアプリ「ジキルとハイド」の開発、取材対応等)、調査・研究(RSNへの相談データの蓄積・解析、家族用テキスト・教育プログラム開発、のめり込み対策ガイドライン策定等)などを行っている。
 電話相談事業は単なるインテーカー(他の機関への仲介役)と誤解されやすいが、たとえばアルコール使用障害では電話相談に内容的に近い一回の動機付け面接が、長期の通院や支援施設利用と変わらない回復成績を示しており、遊技障害対策事業としては今後も重要な位置を占めるものと思われる。
 すでにパチンコ・パチスロ産業21世紀会、全日本社会貢献団体機構、彩の国安全・安心事業協会、ガイア、沖縄県遊技業協同組合、信頼の森、東京都遊技業協同組合などのほか、個々のホール、個人など業界関連からの支援が行われており、全商によるパチンコ関連に特化した相談の請負等も行われているが、たとえば相談時間の夜間への延長(パチンコ店閉店後、開店前など)、回復支援施設と共同した家族相談の充実(すでに行われている)、各種プログラム開発・運営などの拡充、先に述べたような電話相談後の予後の縦断的調査など、RSNからのデータや知見に基づく遊技障害対策が、業界の遊技障害対策の核であり続けると思われるので、さらなる財政的、人的支援強化が必要であろう。
 実際、1)〜7)の提案にしても、RSNの成果に基づくもので、RSNは外部専門家機関で中核的役割を担っていくこととなろう。

6) 回復支援施設への助成および予後調査
 回復支援施設への助成は重要である。すでに回復支援施設には個々の企業や個人が寄付を行っているがさらなる拡充が必須である。今後、上記で述べた専門家委員会などで助成すべき団体等を証拠に基づき推薦し、業界団体、企業、個人が助成しやすい体制を構築していく必要があろう。
 そうした委員会には、回復支援施設の運営に詳しい関係者のアドバイスも必須であろう。特に注目すべきは、遊技障害を一律に扱わず、個々人のアセスメント(たとえば認知の凸凹、遊技問題が発生する前の生活力、発達の状態など)を重視しオーダーメードの支援を行っている施設および運営者で、その意見を重視すべきであろう。
 検討の際、ポイントになるのは、ギャンブリングの問題の背景にある発達の問題や生きづらさの問題への対処を含む支援で、ここを怠り、借金の問題、ギャンブリングの問題だけに対処すると、背景要因を持ちながらギャンブルの問題を抱えた人が二重に被害を被ってしまう。「ギャンブリングの問題の背景にあるものhttp://onedaypt.jugem.jp/?eid=2428」、「人生の安定に必要なことhttp://onedaypt.jugem.jp/?eid=1527」は、日本で初めてギャンブリング問題の回復支援を始めたワンデーポート関係者の意見であるが、かれらは「ギャンブル依存は病気」「底つき、プロプラグの徹底がだいじ」というやり方では落ちこぼれる人を多数発見し、現在の個別アセスメントを重視する方法に切り替えている。この方向での支援拡大が重要と思われる。ワンデーポートにはマルハン従業員組合、ガイア、都遊協などから助成が行われているが、さらなる拡大が必要であろう。
 しかし上記すら、あくまで仮設的な話であることを忘れてはならない。劣悪な施設は論外としても、本来的には支援団体の支援効果等について、6)のような縦断調査が継続的に行われていく仕組み作りこそがだいじで(医療での要因調査を疫学的にやるならそうするのが当たり前)、支援方法の評価を行っていき、そのエビデンスに基づいて、どこを助成、伸ばしていくか、手厚くさせていただくかを評価する仕組みが必要である。マイナンバーの利用や医療データの名寄せが可能となった場合、その仕組みは2)3)と連動し、強力な調査・評価ツールとなりうる。
 なお、4)5)6)のシステム強化が、同時に遊技障害予防、回復支援のための人材養成につながっていく仕組み作りも必須である。

7)全国ホールの健康支援施設化
 タスポ的なシステムが構築されれば、それは遊技障害に限らず、ユーザーの健康支援システムとして活用できる。たとえば、生活習慣病の予防、認知症の予防などのためのチェックと、その対策としての運動のすすめ、健康的な食事指導、喫煙防止教育などへの活用である。そしてユーザーの健康意識の向上は、遊技障害の予防にも、回復支援にも役立つことが予想される。各ホールが地域の健康教育拠点となっていくのである。


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