ギャンブリング問題のとらえ方の変化と進むべき方向性について

以下は、パチンコ・パチスロ遊技障害研究最終報告書、第1章 ギャンブリング問題のとらえ方の変化と進むべき方向性について の結びに当たる部分である(佐藤拓先生著)。この1章では、ギャンブリング問題のとらえ方の歴史がDSM-IIIより前から簡潔に記載されており、勉強になる。報告書が出たら(2021年3月)、ぜひ読んでほしい。行動嗜癖問題でもあるので、ゲーム障害関係者にも読んでほしい。

では、ギャンブリングの問題の背景にあると想定された嗜癖(アディクション)概念は、世界的に用いることが出来る診断基準の改良により、より明確になってきているのであろうか。答えは否である。ギャンブリングの問題を生じる可能性が高いと評価されたギャンブラーの多くが、必ずしも進行性の経過をたどる訳ではないこと、専門的な支援や治療につながらずに回復する人が一定数いることが示されている。このことは、ギャンブリングの問題を抱える人たちに共通する因子の分析だけでは、ギャンブリングの問題を軽減する要因や悪化させる要因の評価は不十分であることを示している。ギャンブリングの行動に影響するものとして、数多くの因子が関連していることが推測される。このため、各地域におけるギャンブリングの特性やギャンブリングの問題を抱える方々の特性などを、治療や診断の観点だけでなく社会的、公衆衛生的観点も含めて分析していくことが重要である。
Broylesら(2014)やBlaszczynskiら(2020)は、「problem gambler(問題のあるギャンブラー)」「disordered gambler(障害のあるギャンブラー)」「disordered gambling(ギャンブリング障害)」「pathological gambler(病的ギャンブラー)」「pathological gambling(病的ギャンブリング)」「addicted gambler(ギャンブル中毒者)」「compulsive gambler(強迫ギャンブラー)」「self-excluded gambler(自己排除となったギャンブラー)」などの用語は、侮蔑的で汚名を着せるニュアンスがあり、そう言われた人の自尊心、自己効力感や自己同一性を低下させることになり、苦しんでいる人が自分に問題があることを認めたり、それを人に言ったり、治療を求めたりする心構えに影響を与え、あるいは回復が可能であるという自信を失わせるかもしれないと述べている。
この提案は、研究者に向けたものではあるが、遊技障害の予防・介入・治療に関わる人たちにとってもしっかり受け止める必要のある提案である。「個」に対する支援・治療から「嗜癖(アディクション)」という見えそうで見えない診断概念の確立に向かった流れを、再度「個」を見つめる方向に変える時期にきているのかもしれない。

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