手書きがだいじかもしれない

手書きがだいじ
幼児ポピーでは手書きをだいじにしています。ひらがなの練習でも、計算課題でも、迷路でも、鉛筆などをもって、自分の手をコントロールしながら書いたり、描いたりすることがだいじだと考えています。
子どもたちにポピーをしてもらう実験で、手で書いたり、なぞったりする場面で、運動のプランニングにかかわる前運動野、筋肉に命令をする運動野、手の感触を感じとる体性感覚野が活性します。加えて、年中、年長になると、知的活動の中核、前頭前野が活性化するからです。

漢字の手書き意味密度を高める?

 最近、京都大学の大塚先生、村井先生が興味深い研究を報告しました。大学院生を対象とした調査で、漢字検定を使って「漢字を書く能力」を調べ、「言語的な知識」と「文章作成能力」との関連を検討したのです。
「言語的な知識」はウェクスラー式成人知能検査の語彙力・一般教養・算数能力で得点化しています。「文章作成能力」は「日々の生活」についての作文を書いてもらい「意味密度」で調べています。
「意味密度」はナンスタディ(修道女研究)と呼ばれる研究で使われた指標で、修道女たちが20代前半に書いた日記などの意味密度が高いと、後にアルツハイマー病の病変が進んでも健全な認知機能(頭の働き)が比較的維持されたことで知られています。文章の中の単語数と動詞・形容詞・形容動詞・前置詞・接続詞の数の比率で算出し、複雑な文章ほど品詞が増えるので意味密度が高くなります。
 さて、大塚先生らの研究で明らかになったのは、「漢字を書く能力」が高いと「言語的な知識」が豊富になり、また、「言語的な知識」を介して「意味密度」が高まるという相関関係でした。漢字の手書きの習得が言語的な知識を豊富にし、また複雑な文章を操る力を高め、頭の働きの維持に役立ちそうなのです。

漢字を書くと想像力が高まる?

 漢字の処理には、角回とよばれる、後頭葉と頭頂葉と側頭葉の境目当たりの脳部位の活動が重要であることが知られています。後頭葉は視覚の処理にかかわり、頭頂葉と連動して漢字の形の理解にかかわります。頭頂葉は書き順など「動き」にもかかわり、側頭葉は意味の理解にかかわります。漢字は平仮名やアルファベットと違って、一字で意味を持ち、書き順や形の理解が複雑なのです。そしてこの部位の損傷は、比喩の理解を困難にすることが知られ、裏の意味の推察など想像力に強くかかわるのです。
 大塚先生らは、漢字検定の2006年と2016年のデータを解析し、「漢字を読み力」や「漢字の意味を理解する力」は変わっていないものの、「漢字を書く能力」がこの10年で低下していることを示唆しています。近年、スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスが急速に普及し、文字を手書きする頻度が大幅に減ったことがかかわるのではないかと推測しています。

デジタルデバイスを駆使しながら手書きを

 とはいえ、スマートフォンやPCを遠ざけた生活は今や考えられません。子どもたちもプログラミングが必修となり、人工知能を駆使したアプリづくりを当たり前にこなすことが、いずれも止められます。デジタルデバイスをしっかり駆使しながら、手で書く、描くことも怠らない、これがだいじです。

Sadao Otsuka & Toshiya Murai (2021). Cognitive underpinnings of multidimensional Japanese literacy and its impact on higher-level language skills. Scientific Reports, 11:2190.
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-01-27
https://www.nature.com/articles/s41598-021-81909-x

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