ゲーム障害での神経接続性の低下は、自閉スペクトラム障害の併存でより広範になるらしい

電機大、久里浜などの研究。
 ゲーム障害は、うつ病や注意欠陥多動性障害などの併存障害を伴うことが多い。これまでに報告されている併存障害の神経生物学的影響は同じ結 果に収束しておらず、脳ネットワークの接続性に肯定的な結果を示したり、否定的な結果を示しています。この研究では、併存障害の有無にかかわらず、ゲーム障害と診断された40人の患者と29人の健康なコントロールからなる若い参加者に対して、静止状態の機能的磁気共鳴イメージングと全脳機能的接続分析を実施しました。
 結果、健康なコントロールと比較して、ゲーム障害のみの患者は、報酬システムと実行機能ネットワークの接続性を部分的に低下させ、その中に、低下した接続のハブとして機能する中央ノードが存在しました。また、自閉症スペクトラム障害を伴うゲーム障害では、報酬の処理に重要な皮質、皮質下および辺縁系領域を含む報酬システムに関与する脳領域全体へのハブノードの変化が起こり、実行制御ネットワークを構成する皮質領域全体に接続性の減少がより拡大されていました。
 これらの観察は、ゲーム障害と共存する神経発達状態が、ネットワークの機能的結合性を再配置および減少させることにより、行動嗜癖の原因となる可能性がある実行/認知および感情機能に関連する神経組織の実質的な障害を引き起こしたことを示唆しています。
Neurobiological influence of comorbid conditions in young patients diagnosed with gaming disorder: A whole-brain functional connectivity study based on a data driven method.
Kuriki S, Higuchi S, Nakayama H, Mihara S, Okazaki Y, Ono Y, Kobayashi H.
PLoS One. 2020 May 29;15(5):e0233780. doi: 10.1371/journal.pone.0233780. eCollection 2020.
 ただし、これらがゲームの結果なのか、ゲームに先行した脳的特徴なのか、相互作用なのかは依然不明です。また、ギャンブル障害と自閉スペクトラム障害でも同様の関係が生じている可能性があり、ワンデーポートの中村らはギャンブルの問題に焦点をあてるのではなく、自閉スペクトラム障害を前提とした生活調整、環境調整がより重要であると主張しています。
 皆さんにわかっておいてほしいのは、「脳はよく変わる」ということです。「脳が~」というと大変なことが起きている、もうどうしようもないと思われがちです。確かに認知症の終盤などでの脳委縮は不可逆的でどうしようもない、は事実でしょう。しかし、たとえばジャグリングを一月もすれば運動野、前運動野、体性感覚野が厚くなることは簡単に起きますし、カウンセリングで脳の接続性に変化が生じることもよく知られています。そもそも脳は情報処理機関なので、情報によって、あるいはその処理の仕方を最適化することによって、簡単に変化してくれなければ困ります。「脳は変化のさなかにあり続ける」のです。その感覚を忘れて「脳が~」「さあ大変」は意味がありません。

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