学生諸君は、新型コロナがらみではココを見ておいてください

 人システム論、脳システム論、脳科学特論、3年ゼミ、卒研を受講予定の学生諸君は、大学生としての基礎リテラシーでもありうるので、押谷先生のスライド(https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf)を見ておいてください。二点ほど問題点がありますが(流行初期の最大の謎:健康観察対象者・発症前問題、急速な感染拡大で起こるメカニズム:市中感染率の考慮がない)、概略は1)以下です。授業の課題となっている皆さんは、論点を整理して議論してください。
 *このブログ、5月半ばで更新を止めています。肝心かなめの数理モデルが現実的なのか、後々出てきてしかるべきだと思いますが、それは皆さんの未来で。

*追加です。ここも見ましょう⇒新型コロナクラスター対策専門家 https://twitter.com/ClusterJapan
*ここも見ましょう。新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書・地方版(茅野市発信:諏訪中央病院玉井道裕先生作成)、家の中で一人でも熱や咳、だるさが出たら14日間外出不可。https://www.city.chino.lg.jp/uploaded/attachment/12682.pdf 今見えないようです。
*忽那先生のこちらもわかりやすいです。https://www.carenet.com/useful/yorozu/cg002640_index.html 今見えないようです。
 PCR感度:BAL93%、痰72%、鼻咽頭スワブ63%。Wang W, Xu Y, Gao R, et al. Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimensexternal icon. JAMA. Published online March 11, 2020. DOI:10.1001/jama.2020.3786.⇒エール大:唾液がいい。
*前頭脳王の解説。ちょっと間違ってますが。https://www.youtube.com/watch?v=jMIScCb04qs&feature=youtu.be

押さえておきたいポイント(押谷先生のスライド以降の展開もあり、篠原が補足しています)

1)新型コロナはほぼクラスター感染であること。⇒クラスター感染とは何か?
 流行初期の最大の謎:濃厚接触者から誰も感染が出ていない。R0=0なのになぜ流行しているのか。
 ⇒多くの人は誰にも感染させないが一部に1人が多くの人に感染させていると考えないと流行が起きている理由を説明できない。リンクの追えない症例からつながった患者の集積のうち5人以上のものをクラスターとする。見えないクラスターがある
 ⇒「クラスター」の定義と意味を理解しておいてください(篠原)
 
2)日本はなぜクラスター対策という手段をとったのか⇒ウィルスの性質との関連
 孤発例の周辺には見えないクラスターがある。
 なぜ見えないか。⇒軽症、無症状が多く見つかりにくい若年層クラスター密接な接触を伴う夜の街クラスター(社会的に追いにくいクラスター)。⇒これらが院内感染につながる(台東区病院は屋形船クラスターとつながり、無症候または軽症の医療従事者から感染拡大、医師による複数病院への感染、か)。
 無症状時感染が半数を占めるらしい。⇒開始から発症までの日数の中央値は5.2日、発症の2.3日前から他の人に伝播できるようになり、発症前0.7日が最も伝播しやすい。感染者から次の感染の半数近い44%が発症前の伝播に起因。見えない状態で感染する。
 無症状または軽症例からの感染の特徴(想定)。⇒咳・くしゃみがなく通常の飛沫感染ではない。換気量が増大するような激しい運動、大声を出す、歌う、1対複数の密接した接触、密接な接触を伴う接客。いわゆる3密(密閉、密着、密接)+α、対策
 だから、3密を避けてもらいつつ、クラスターを探りたたく。αは現状、大声、激しい呼気、高年齢、唾液か

 中国では、武漢の都市封鎖・外出を厳格に制限・人が集まることを制限することでウイルスをほぼ完全に制御。シンガポールでは感染連鎖をほぼ完全に可視化することで第1波の流行を制御。日本は疫学解析・数理モデル解析により最適解を探っていく。
 北大西浦教授のグループの解析から多くの感染者はだれにも感染させていないことがわかっていた。クラスターさえなければRt<1:つまり地域にウイルスが入っても流行にはならない。家族内感染などの2次感染があっても家族内で閉じる限りはRt<1なので流行には至らない。日本でメガクラスターが起こることが懸念された状況は、帰国者・接触者外来に心配だからというような人が殺到すること。大多数は感染していない中に少数の感染者がいる状況で、混雑した外来でウイルスの伝播が起こるとメガクラスターになる可能性がある。感染者・接触者・感染連鎖・クラスター連鎖は制御下に置けている限り大規模な地域流行につながらない。
西浦先生解説:https://twitter.com/ClusterJapan/status/1246260779541655553
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年4月1日) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf

3)北海道で何が起こり、どう対策して、第一波を乗り越えたか
 札幌では若年層のクラスター連鎖が中心、一部に中高年の感染者も見えていた。札幌以外では多くの場合札幌感染源とする散発例と一部クラスター(北見など)。札幌では若年層クラスター連鎖が続き、中高年クラスター連鎖も発生。札幌以外の地域でも散発例とクラスター(いずれも中高年が中心)が続き、一部に中高年クラスター連鎖も起こる可能性。この結果、中高年を中心に非常に多くの重症者と死亡者が発生する可能性が高かった。
 行動制限および行動変容により感染連鎖、特にクラスター連鎖をできるだけ断ち切る。これにより短期的に感染拡大をできるだけ早く収束方向に向かわせる。小規模なクラスターしか発生しない北海道各地ではクラスター対応を継続(必要なら応援を)、札幌では疲弊しない程度に中高年クラスター連鎖が起きないような対応が求めらていた。
 そして非常事態宣言によって、実効再生産数が1を下回った。

4)なぜPCR検査の全適応をしなかったか
 そもそもの話として、人口当たりのPCR検査数を各国比較しても意味がない。疑い事例が圧倒的に違うから。たとえば米国との比較では疑い事例が65倍、これで補正するとほぼ同じ(4月17日時点)。疑い事例の検査タイミングが遅れていくのは統計的にも問題だが
 感度問題:陽性を陽性とする率、6-7割(P. Wikramaratna, R. S. Paton, M. Ghafari, J. Lourenco, Estimating false-negative
detection rate of SARS-CoV-2 by RT-PCR. medRxiv, 2020.2004.2005.20053355 (2020).https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.05.20053355v2.full.pdf)。入院や隔離を決断する段階の検査として、感度が低い検査は、陽性の人を陰性といってしまい、本来不向き。3割は取りこぼす。仮に陰性でも感染者と仮定した対応が必要になる。
また、炎症反応があり、画像検査で疑われれば、陰性でも新型コロナと扱った方が適切。その後の治療対応は同じだし、アビガン等はコロナでもインフルでも使いうる(そのように認めれば)。患者に不利益はほぼない。
 しかし、医療従事者にとっては、待合、診察、炎症反応、画像検査時点で感染リスクがあり、事前のPCR検査は3割の取りこぼしはあるものの、リスクを7割抑えられる。事前PCR検査を二回行えば1割の取りこぼし。仮に市中感染率を5%(深刻な流行を経験したドイツ北部の街ガンゲルトでも抗体検査などから15%の人が感染したと推測された。致死率0.37%。PCR検査結果の約5倍が感染?カリフォルニアは50-81倍:ニューヨーク州、サンプリングバイアスは考慮する必要があるものの、既感染率14%、死亡率0.5%(4月23日):実際ランダムサンプリングしないとわからんな)とすると、PCR全数検査で3.5%を拾え、1.5%を見逃す。それでも、病院と切り離した形の検査体制は医療従事者の感染リスク軽減に役立つ。非SARS-CoV-2病原体の存在は、患者がSARS-CoV-2感染では無いとはいえない。20%に共感染がみられるので、他の病原体が見つかってもCOVIDは否定できない。つまり、PCR検査は最後にではなく、最初に。ただし、現有の医療資源でこれを行うのは、やはり負荷増大をともなう。
 クラスター対策では濃厚接触者全数調査はこのために病院と切り離し行ってきた。しかし、クラスターが追いきれなくなってきた。だから、接触を8割抑え、手指洗浄。またクラスター対策を主体にできるレベルにクラスター連鎖を全国的に断ち切り感染率を1か月で減らそう、というのが現在(4月16日)。
 同時に、入院隔離の決断にも不向きなPCR検査を使う。この場合は3割の取りこぼし可能性は検査を受けた人にきちんと伝え(実際、陰性が陽性かした例は少なくない)、全体リスクを7割減らす。もしくは二回の検査で偽陰性率を1割以下まで落とし(0.3×0.3)、リスクを9割軽減する。
 しかし、その際、症状があってPCR陰性なら、その後の対応では新型コロナ軽症者と同じように、そして軽症者とは異なる宿泊施設等での対応が必要。もしくはここを自宅にまかせる決断が必要。
 結局、一応、疑いなし⇒自宅(この場合も発熱後2週程度の自己隔離)、疑いあり非確定(PCR陰性含む)⇒看護側防護環境で施設で対応(現状これがない)または自宅隔離、疑いあり確定⇒看護側防御環境での別施設対応、中等・重症⇒役割分担した病院対応。

 一方、PCRは、感度が低くても、市中感染率(現在感染率)をランダムサンプリングで調べるのには向く。感度が低くても、市中の感染率は精度よく推定できる。例えば上記例で3.5%陽性なら、これは7割の把捉と考え、計算し戻して5%と推定できる。感染爆発抑制後は市中感染率、市中抗体保有率(過去の感染率)によって、外出自粛要請、休業要請のタイミングが決まる。市中抗体保有率が低いまま感染率があがれば外出等自粛要請、抗体保有率が高ければ感染率も上がってこないし、自粛要請の閾値も上がる。
 PCR検査のキャパシティはどこの国、地域にもあり(韓国も全数調査ではない、大邱でのクラスター追跡が大規模)、簡易な新キットの普及や、それらによる技術者問題の解消が必要。また感染率がある程度高くないとランダムサンプリングの数を増やさなければならない。抗体検査と合わせて行っている国や地域はあるが、抗体検査も抗体検出に2週かかり(IgMは使えなさそう、IgGは発症後2週間で9割強)、かつ3分の一は消える可能性がある。いったん感染爆発が落ち着き、次の波を早期に把握するためのサンプリング調査体制の構築のために、今始めるのが重要。波はもう何回かある。
 だから、今は接触を8割抑える。同時に残念ながらトリアージ、二次災害の発生の予防を優先。
 PCR検査の迅速化は重要で、時間短縮キッドの供給体制の拡充、唾液での判定の導入(https://www.biotoday.com/view.cfm?n=90649)は進めるべきだが、その手間問題が全体では負荷となる。
 *2020年4月25日情報:イギリス。被験者は定期的に検査、最初の5週間は毎週1回、その後の1年間は毎月1回。家族全員が受け、その結果は担当医から通知されて個人情報は常に守られます。試験は様子見のために25,000人をひとまず募って開始し、その後1年間に最大30万人を募る。https://www.biotoday.com/view.cfm?n=90776#.XqRH6gEwoAB.twitter
 神戸の推定既感染率2.7%。4万人。1000人の抗体検査から性年齢でのウェイトバックで推定。
Estimation of seroprevalence of novel coronavirus disease (COVID-19) using preserved serum at an outpatient setting in Kobe, Japan: A cross-sectional study. https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.26.20079822v1

4)現在の感染増は第二波と市中感染
 第2波の流行の原因は、第1波の流行の残り(台東区の病院)に加え、非常に多くの感染者がヨーロッパ・エジプト・アジアから流入していることだが、最大の要因は激増した輸入例。急激に報告者数が増えているが施設内感染例の増加が多く、爆発的に地域内感染が増えている状況ではない。しかし、着実に感染者・孤発例ともに増えており、ぎりぎり、もしくは医療崩壊的な状態にある。
 接触を8割減らす対策で再びクラスター追跡が可能な状態を目指す。

5)なぜ日本方式はここまでうまくいっていたのか?
 医療アクセスのよさと、医療レベルの高さのために初期段階で流行およびクラスターを検知できている。 保健所・自治体・地方衛生研究所・感染研などの努力でクラスターが相当程度可視化できている。都道府県知事の協力でより積極的対策への切り替えが迅速にできている。クルーズ船から続くさまざまなことから非常に多くのことを短期間に学んできている。

6)より厳しい第2波、および市中感染を乗り切るために必要な条件
 保健所・地方衛生研究所・検疫所・クラスター対策班の人員の早急な拡充。特に保健所の負担の軽減。 日本に住むすべての人が、この問題を真摯に考え、それぞれの行動を見直してもらうこと。「行動変容、行動変容、行動変容!」
 で8割減。https://twitter.com/ClusterJapan/status/1247467401001627648
 西浦先生が8割にこだわる理由&全数検査を無意味と考える理由の一端
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura
「今のところ、86人の感染者が羽田、成田で見つかっています。ものすごい数の検査の努力があるからなのですが、効率が悪いです。多数の医師も動員されています。2009年の新型インフルエンザの時も、空港で同じような悲惨なことが起きたのを見ました。そして、それをやっても感染の抑止力はなかった。今の時点で1000を超える感染者が日本に入っています。その中で86人を症状がない不顕性感染も含めて、膨大な努力をして見つけるのが意味があることなのか、否かは考えなければなりません。(空港では)早く、症状のある人だけに対する検査に変えてほしいと、いろんな方面に働きかけています。それがなかなか動きません。」

PCR検査、軽症者に推奨せず―新型コロナ  感染2学会「考え方」まとめる https://news.yahoo.co.jp/pickup/6357397
感染拡大初期から「風邪の症状だが、新型コロナではないか」といって検査を求める声が殺到したという事情がある。舘田理事長は「不安な気持ちは分かるが、治療法もなく、軽症でも入院が必要になるなど、医療資源を逼迫(ひっぱく)させてしまう可能性が学会では危惧されていた」と言う。
⇒武漢での疑い者殺到、医療崩壊のイメージ(実際だが)が、どこまで影響したのか。その回避を第一としたことの是非。どこまでその問題回避を引っ張るべきだったのか、は大きな課題。ウィルス変異問題をあるし。
 
*4月12日現在の政府の雇用対策。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/management/?tab=2

*これらの背景となる、基本再生産係数(Ro)、実効再生産係数(Re, Rt)の概念は自主的にしっかり調べておいてください。R0が本当に仮定できるのかは課題です。
https://twitter.com/ClusterJapan/status/1247463049662889985?s=20
うちは工学系なのでこちらも。Rtを計算するソースコードも出ています。公表されている数字からだけだから限界はあるけど、開環境ではこれしかないのかも。
https://rt-live-japan.com/ 
http://systrom.com/blog/the-metric-we-need-to-manage-covid-19/
https://github.com/k-sys/covid-19/blob/master/Realtime%20R0.ipynb

*大阪モデル(5/5)http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00362708/031_shiryo3-1.pdf

よくわからんこと。今季のインフル、入院数12955人、ICU621人、人工呼吸器461人、だったそう。で新型コロナ、4月18日時点の厚労省報告、入院治療を要する者の数8448人、人工呼吸器またはICU211人。インフルの報告は今週で終わりだそう。数字だけ見ると新型コロナが怖い理由がわからん。素人考えだけど。
これだけ無症状が多いと(ニューヨーク州報告など)、当初の死亡率の高さはフェイク。その死亡率に合わせた恐れ方、外出自粛要請、経済縮小の決断は、修正の必要があるのかもしれない。他の感染症との恐怖すべき程度の比較が欲しい。初期は見た目の死亡率で恐れていたが。
ここは見ておいた方がいい。新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/050800015/051100003/?rss

*脳がらみでは、ここを必ず見ておいてください。
得体のしれない恐怖を恐れる仕組み、相手を思いやる仕組み、バッシングの仕組み
https://higeoyaji.at.webry.info/202002/article_8.html
目には目を続けると、仕返しは15倍になる
https://higeoyaji.at.webry.info/201606/article_3.html
子どものゲームハマりが気になったら
https://higeoyaji.at.webry.info/202003/article_3.html


因果かどうかは不明だが、BCGが新型コロナの死亡率にかかわることは確からしい。新型コロナは日本にとって弱い病なのかもしれない???
Is BCG vaccination causally related to reduced COVID‐19 mortality? Masayuki Miyasaka
https://embopress.org/doi/abs/10.15252/emmm.202012661#.XrlW_WEqxOs.twitter

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