ギャンブル障害、ゲーム障害での対応を数的バランスでどう考えるべきか

 以下はギャンブル等依存症にかんする議論だが、ほぼ、ゲーム障害にも当てはまると思われる。
 ギャンブル等依存症対策法でのギャンブル依存症の定義(1)は、国際疾病分類ICD11(2)に近い。すなわち、DSM-5での9項目を動機、行動、結果に分ければ、行動のうちのコントロール障害と結果を問題視ししたもので、項目反応理論による分析ではほぼ重度にあたる。
 ICD11を簡単に言えば以下が1年以上続くこと。
①ギャンブリングがコントロールできない
②ギャンブリングの生活上の優先順位がどんどん上がっている
③個人、家族、職場、学校などで、ギャンブリングによって相当まずいことが起きているのに、ギャンブリングを続け、エスカレートとしている。
 これらはDSM5でいう軽度~中程度と異なり重度。調査などで報告される有障害率(有病率)0.8%とか0.4%は軽度あるいは軽度以下も含まれる(特にSOGSで測定した場合)。この重度例は疑い率の半分以下で、かつ、のちに述べるように予後は世の中や治療現場が考えるよりはるかに良いく、古典的な意味での重度反復例は、さらにその10分の一程度と予測される。
 そして、古典的な意味での重度反復例を、嗜癖の単純な延長で起こると考えるのは無理がある。脳的には、ギャンブルを続けることで、単純な報酬系の過剰反応や、前頭葉等の抑制機能の低下がおきるといった説明では、因果の方向が不明だし、その機構のみで説明しきれないとおもわれる。
 単なる嗜癖、好きの延長では、一過性でのめりこんでも、一年続くことは難しい。ふつうは危機を感知すれば勝手に引き返す。数度失敗しても適応を見出す。それが起きないことがギャンブル等依存症の問題の中核であるなら、知的な問題だとか、発達の問題、フラストレーションの問題などがないと、起きにくいのではないか。実際、ギャンブル障害ではその尺度得点の分散の50%は遺伝要因で説明可能。だとすれば、癖になってしまっているから「やめ続ける」というモデルより、本来的に抱えている、またはギャンブルを通して顕在化した困難への福祉的サポート、健常を前提としない新たな落としどころの模索が重要(ワンデーポート的な(4))。従来の共依存批判はあたらずサポートこそ本質的に必要になる。
 一方、全国調査での遊技障害疑いレベルでは、アルコール使用障害についてのDSM‐5の記載「治療を受けに来る人達が典型的には長年にわたる重度のアルコール関連問題を抱えているという事実から、しばしばアルコール使用障害が手に負えない障害であると誤って認識されている。しかし、これらの最も重度の症例はこの障害を持つ人のほんの一部に過ぎず、典型的なアルコール使用障害の人の予後ははるかによい」と同様に、またはそれ以上に改善が容易で、実際調査では問題改善者の99%は専門機関等に相談せず問題が消失している。ここでは「自由にしていい時間で遊びましょう」「上限を決め遊びましょう」程度のメッセージで十分なのかもしれない。

(1)基本法:ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態
(2)ICD10~11:ギャンブリングに対する制御が障害されていることに特徴づけられる持続的で反復的な行動で、個人的、家族的、社会的、あるいは、教育上、職業上、その他重要な事柄に明らか重大な問題が生じており、望ましくないことが繰り返し起きているにもかかわらず、他の活動以上にギャンブリングの優先度が増しており、他の興味や日々の生活に比べて最優先である状態。これらの特徴や行動のパターンが少なくとも12か月以上続いている状態。定義的には以下の三項目。
・ギャンブルをすることに対する制御の障害(例:開始、頻度、強度、持続時間、終了、状況)。
・ギャンブルをすることへの優先順位が高まり、他の生活上の利益や日常の活動よりもゲームをすることが優先される。
・否定的な(マイナスの)結果が生じているにもかかわらず、ギャンブルをすることが持続、またはエスカレートする。
その行動様式は、個人的、家庭的、社会的、学業的、職業的または他の重要な機能領域において著しい障害をもたらすほど十分に重篤なものである。
ゲーム障害とほとんど同じ構成。
(3)DSM-5:
A.臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的かつ反復性の問題ギャンブリングで、その人が過去12か月間(原文は「in a 12-month period」なので、「ある12か月間」であることに注意)に以下のうち4つ(またはそれ以上)を示している。
・興奮を得たいがために、掛け金の額を増やしてギャンブリングをする欲求
・ギャンブリングをするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、またはいらだつ
・ギャンブリングをするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある
・しばしばギャンブリングに心を奪われている(例:次の賭けの計画を立てること、ギャンブリングのための金銭を得る方法を考えること、を絶えず考えている)
・苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、ギャンブリングをすることが多い
・ギャンブリングで金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った金を“深追いする”)
・ギャンブリングへののめり込みを隠すために、嘘をつく
・ギャンブリングのために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある
・ギャンブリングによって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む
B.そのギャンブリング行動は、躁病エピソードではうまく説明されない。
▶該当すれば特定せよ・・・挿話性(数か月は軽快する)、持続性(何年も当てはまる)
▶該当すれば特定せよ・・・寛解早期(3か月以上12か月未満基準を満たさない)、寛解持続(12か月以上基準を満たさない)
▶現在の重症度を特定せよ・・・軽度(4,5項目)、中等度(6,7項目)、重度(8,9項目)
(4)ワンデーポート:日本のギャンブリング障害回復支援施設の先駆け。当初、古典的な12ステップモデルで、神の前で無力を悟り、日々生きなおしていく、以下のような方向を志向していたが、発達の問題など、元来的な弱さを抱えている場合、これらが合わないケースが多数あることを見出し、発達障害に対する環境調整的アプローチを参考に、暮らし、生活、余暇の立て直しのサポートを行う方向に切り替えた団体。
・自身のアルコール依存、嗜癖、強迫性障害をセルフコントロールできないことを認めた。
・自身には、ハイヤーパワーが与えられていることを認めた。
・スポンサー(経験豊富なメンバー)の助けを借りて、過去の過ちを見直した。
・それらの過ちを修正しようとした
・新しい行動規範を持ち、新しい人生を学んだ
・同じようなアルコール依存、嗜癖、強迫性障害を持つ人々を助けようとした

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