医療情報の読み方(ギャンブル障害の一例)

「ギャンブル等依存症を予防するために」平成31年指導参考資料より12.png 
 こういう症例研究や体験談を読むときには、アルコール使用障害についてのDSM‐5の次の記載などを踏まえてほしい。
「治療を受けに来る人達が典型的には長年にわたる重度のアルコール関連問題を抱えているという事実から、しばしばアルコール使用障害が手に負えない障害であると誤って認識されている。しかし、これらの最も重度の症例はこの障害を持つ人のほんの一部に過ぎず、典型的なアルコール使用障害の人の予後ははるかによい」
 こうした指摘は研究では常識。症例研究バイアスや当事者研究バイアスには注意を払おう。当事者や回復支援者がおちいりやすいのが、生存者バイアス。自分のプロセスや回復方法の絶対化や押し付けが生じやすい。
 具体的には、重症例と全国調査数を併記すると誤解を招く。これは高校生への指導参考資料なので、正しい研究スタイルやエビデンスレベル教育を同時におこなうべきなのは言うまでもない。たとえば、ぱちんこの場合、症例研究では久里浜の資料のような数字が出ても、全国調査では借金中央値は10万円未満。400万越えは0人、推定1.9万人以下。障害うたがい40万人中、借金があるのは10万人。その中央値が62.5万円。障害疑いのある人のうち借金のある人が受診しており、参考資料はその統計とみるべき。
 参考資料と全国調査はまったく一致しなくて当り前。全国調査結果と症例研究が並んだデータを読むときには、こういうバイアスへの注意喚起は必須。というか、常識にならないと医療情報リテラシーは向上しない。国民もマスコミも。
無題.pngこれはエビデンスレベルの一例。先のふたつの参考資料は症例対照研究ですらない。いずれもVレベル。ほぼ無視してよいレベル。その問題の重要性を訴えるには個別事例に近いほうが訴求性は高いが、全体の中でのリスクの位置づけでは適切なサンプリングに基づく調査結果を優先するべき。そのエビデンス感覚こそ、高校生に教えるべき医療情報理解リテラシー。

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