脳の保存、再生?

 今日のビデオのオープニングは脳の保存・貯蔵サービスです。20年ほど前のビデオで、アルコ―財団という営期待窒素による冷凍保存を進めている財団のものです。遺体をめぐる裁判沙汰もすくなくないとか。全身保存で約15万ドル、頭部のみの保存で約8万ドルだとか。この手の話は、この財団だけではなく、思い出したようにときどき出てきます。
 たとえば、最近では、シリコンバレー発のスタートアップ、Netcomeが、脳を長期冷凍保存し、更にその脳内の記憶を将来的にはクラウドアップロードすることの出来るサービスを提供する予定をぶち上げています。米国立衛生研究所から約1億円、AirbnbやDropboxにも投資実績のあるY combinator社から1200万円の投資を受けているとか。
 驚くべきはサービス価格で、約1万ドル(約100万円)だとか。金日成や金正日の人体の冷凍保存に年1億円かかるそうなので破格の安さ。脳の防腐処理を施した上での保存を提案。グルタルアルデヒドという薬品と不凍液を血管を通して新鮮な脳に流し込み、脳の微細な構造を安定化させ、アルデヒド安定化冷凍保存(ASC)という技術を用いることで、数100年~数1000年は脳の保存が可能になるとか。そして、将来、脳を解凍しスキャンして、コンピューターシミュレーションとして再生させるそう。
 一方、↓は、エール大学のN Sestanらの研究。死後4時間たった豚の脳を、BrainEXというシステムを使うことで、細胞死の減少と、シナプス活動の回復が認められたとか。こういう技術が進んでいくと、↑も不可能とは言えないのかもしれません。
 そもそもN Sestanらは、BrainEXというシステムを使って、脳だけではなく、あらゆる臓器の組織機能維持を目指しています。BrainEXは、灌流デバイス、細胞を保護しニューロンの活動を抑える溶液、外科的処置からなるシステムです。単離された脳に保護液を循環させる際、正常体温での脈動血流を模倣するように設計されているとか。そしてこのシステムを死後単離された豚の脳で適用、6時間の灌流によって、海馬などでの微小循環の回復と細胞機能の一部回復が見られたそう。一方、脳波など脳システム全体の回復は見られなかったとか(見られた場合は直ちに実験を中止する予定だったそうです)。
 もともといわゆる脳死状態でも、脳細胞の一部が活動していることは知られていましたが、今回の研究で、相当長く活動が続く可能性も認められたわけで、死の定義の再考もありえます。
Restoration of brain circulation and cellular functions hours post-mortem
Zvonimir Vrselja, Stefano G. Daniele, John Silbereis, Francesca Talpo, Yury M. Morozov, André M. M. Sousa, Brian S. Tanaka, Mario Skarica, Mihovil Pletikos, Navjot Kaur, Zhen W. Zhuang, Zhao Liu, Rafeed Alkawadri, Albert J. Sinusas, Stephen R. Latham, Stephen G. Waxman & Nenad Sestan
Naturevolume 568, pages336–343 (2019)

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