海馬腹側を介した根気

扁桃体基底外側部(BLA)から海馬腹側(vHPC)への入力阻害は不安を和らげ、活性化は逆に不安行動を促進しうることがマウス実験で示されています。BLA神経は直接的な活性化や間接的抑制を介してvHPC錐体ニューロンに影響を及ぼすことも確認されています。
BLA to vHPC Inputs Modulate Anxiety-Related Behaviors. Neuron, Volume 79, Issue 4, 658-664, 21 August 2013
 また、よく体を動かすことは海馬腹側神経のGABA伝達亢進を介する抑制性メカニズムを強化して不安をやり過ごす力を改善しうることが示されています。海馬腹側神経のGABA-A受容体を阻害するとランニングの抗不安作用が消えてしまうこともマウス実験で示されています。
Physical Exercise Prevents Stress-Induced Activation of Granule Neurons and Enhances Local Inhibitory Mechanisms in the Dentate Gyrus. The Journal of Neuroscience, 1 May 2013, 33(18): 7770-7777; doi: 10.1523/JNEUROSCI.5352-12.2013
 ↓は「根気」の持続に海馬腹側の鎮静化が必要で、それにはセロトニンが関わるというもの。もともと銅谷らによってセロトニン(の材料のトリプトファン)欠乏食で、線条体の活動が変わり、短期的な快にかかわる線条体腹側部が活動しやすくなることが知られていましたが、今回は海馬とのかかわりを含めた研究。
  レバーを複数回押すとエサが出てくる装置にマウスを入れ、5回、10回、20回でエサが出てくる3パターンで実験。特に操作をしない場合、待つ回数が大きくなるほど、エサの獲得率が下がります。
 次に、この実験中に、腹側海馬の神経細胞を光遺伝学的方法で興奮。5回のレバー押しでエサがもらえる時、成功確率が95%から80%に落ちたそう。海馬の活動を抑制したところ、5回のレバー押しでエサが出る課題では行動に変化がなかったが、10回でエサが出る課題では成功確率が73%から90%に、20回の課題で50%から83%になり、根気の改善が推測されたそう。
 ギャンブル実験では報酬を待つとき(報酬期待時)GABA神経の活動がみられ、これが不安を和らげていると考えられているが、そのメカニズムが働いているのかもしれない。ギャンブリング障害では衝動性の高さが関与するが、待てないことが問題なのかもしれない。
 ちなみに、人の行動は、コストとベネフィットの計算で選択されると考えられています。腹側被蓋、側坐核などでベネフィットを、島皮質でコストを計算しており、ここに海馬も絡むわけです。
Serotonin-mediated inhibition of ventral hippocampus is required for sustained goal-directed behavior.
Yoshida K, Drew MR, Mimura M, Tanaka KF.
Nat Neurosci. 2019 Apr 15. doi: 10.1038/s41593-019-0376-5.

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