「はげひげ」の脳的メモ

アクセスカウンタ

zoom RSS ギャンブル等依存を考えるとき、DSM‐WとDSM‐5では「障害疑い」が拡張している

<<   作成日時 : 2018/12/15 20:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 日本で使われている「ギャンブル等依存症」の範疇は、ギャンブル等依存症対策基本法(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=430AC1000000074)が出来上がった今でも、ほわっとしており、定義がないかのように見えます。
 一方、精神医学では、ギャンブル障害(gambling disorder)が操作的な基準として示されています(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87のDSM-5の診断基準など)。それ以前はDSM-Wで病的賭博(pathological gambling)として操作的な基準が示されていました。これらは同一視しがちですが、その範囲が微妙に違います。
 DSMWでは基準となる項目が10項目ありましたが、DSM5では9項目と減っています。削られた1項目はギャンブリングのために法を犯したことがある、といった項目です。法的な問題を精神医学的な問題の基準とするのはおかしいということで削られましたが、この項目は、一般には中度、重度の障害で当てはまります。
 また、DSMW⇒DSM5で、診断基準が5点以上から、4点以上に変更になっています。10項目が9項目になったから、同じだろうと思われがちですが、すでに述べたように、減った触法項目は中度から重度で当てはまってくるので、障害であるか否か、非障害か軽度の障害かの区別には効いてこない項目です。
 ですから、DSMW⇒DSM5で、実質的には「障害疑い(病的賭博疑い)」の範囲が1点分広がっています。したがって、DSMW以前ベース調査(久里浜のSOGSのような)とDSM5ベース調査を比較する場合は、DSMW以前ベースの「病的賭博疑い」より、DSM5ベース調査の方が「障害疑い」が多くなることは知っておいた方がいいでしょう(Williamsの補正以上に)。
 たとえば2017年の久里浜調査のギャンブル等依存症疑い数のうち、ぱちんこ関連の疑い数は、社会安全研究財団の遊技障害(パチンコ関連依存)疑い数より、原理的には少なくなるはずです。しかし、久里浜調査ではギャンブル等依存症疑いが直近一年で約70万人、うち約8割が主にぱちんこをするので、ざっくり56万人がパチンコ関連依存疑い数になります。社会安全研究財団では約40万人。といっても、もともと久里浜が調査に使ったSOGSという調査用紙を使うと疑い数が多く見積もられることが知られているので、Williamsの補正に従うとほぼ40万人になりますが、社会安全研究財団の方が多くはなっていません。
 誤差の範囲の差だ、社安研が少なく見積もっている、久里浜が多く見積もっている、それぞれの可能性があります。久里浜の調査は2013年で530万人(ただし生涯のどこかでの疑いの合計が基準を越えた数)、2017年では同じ障害疑いが320万人と原理的に減るはずのない調査で激減した報告をしていますし、2017年調査ではSOGS以外も行ったはずですが、そちらの報告は耳にしていないので、なんだかなあではあります。国の機関ですから信頼していますが。

 それはさておき、ギャンブル等依存症対策を考えるときには、「障害疑い」だけを対象とするのではなく、問題ギャンブラー(problem gambler)も対象とすべきです。DSMWでは10項目5点以上が「病的賭博疑い」、「problem gambler疑い」は3,4点あるいは1-4点です。DSM5は9項目4点以上が「障害疑い」、「problem gambler疑い」は3点、あるいは2,3点、1-3点です。
 先に述べたようにDSM-5で実質的に「障害疑い」の範囲が1点分広がっているので、problem gamblerの範囲をDSMWのままで3点としておくか、スライドさせ2,3点とするか、いわゆるat risk含め1-3点とするか、まだ世界的な傾向ははっきりしませんが、国での対策等を考えるときには、範囲をきちんと決めて議論していく必要があります。でないと、ある施策が役に立ったのか、立たなかったのか、判断の際、ややこしいことが起きます。
 ちなみに世界の流れは、障害ギャンブラー⇒problem gambler⇒at riskと、とくに予防的対象の範囲を広げる方向にあります。ですから、DSM‐5、1,2点に対する予防的対策、2,3点に対する予防的対策、4点以上に対する進行予防を中心としつつ回復支援も含めた対策、社会的破綻につながりうる8,9点に対する進行予防と回復支援対策、さらに回復支援団体が対象としているような反復重症例、強迫的ギャンブラーでありうる事例に対する回復支援と、それぞれの規模を適切に把握しつつ対応していく必要があります。
  

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
篠原教授の 楽ラク脳トレーニング DVD全12巻
ギャンブル等依存を考えるとき、DSM‐WとDSM‐5では「障害疑い」が拡張している 「はげひげ」の脳的メモ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる