性格特性にかかわる遺伝子領域は特定の精神疾患とかかわる

 精神疾患の診断・統計マニュアル第五版(DSM-5)ではよく使われるカテゴリー診断とは異なる第Ⅲ部がおもしろい。個人的には臨床用の文化的定式化面接(CFI)の汎用性にひかれるが、パーソナリティ障害を「性格の主要な5因子(ビッグファイブ)」の病的拡張または機能低下としてみる新モデルも興味深い。
 ↓は「性格の主要な5因子」に対応するヒトゲノム領域を特定し、かつ「外向性とADHD」「神経症傾向とうつ病」というように性格と精神疾患の発症のしやすさとの間に相関があることを示したカリフォルニア大の研究。
 ビッグファイブは外向性、神経症傾向、調和性、勤勉性、開放性だが、「8p23.1」と呼ばれるゲノム領域と神経症傾向、「12q23.3」と外向性などの強い相関が示された。さらに、外向性はADHD、神経症傾向はうつ病、開放性は統合失調症や双極性障害と結びついているとみられることも明らかにした。また「L3MBTL2」と呼ばれる変異型の遺伝子が、神経症傾向、統合失調症の両方と相関していることも見出した。
 計14万人の遺伝子サンプルを用いた研究だが、これでもサンプルサイズとしては足りていないそうで、ゲノムワイドの研究は大変です。また、ほぼすべての人にかかわる研究はこの変数を無視しているわけで、そこを思うと暗澹たる気分になります。
 DSM‐5、第三部の夢が、あらゆる精神疾患領域に波及しそうで楽しみです。こっち経由の創薬もありゆるわけで。
 最初の話にもどると、神経症傾向が「否定的感情ー情緒的安定性」に、外向性が「離脱(引きこもり的)ー外向」に、協調性が「対立―同調性」に、誠実性が「脱抑制(がまんがきかない)―誠実性」に、開放性が「精神病性-透明性(開放性)」に拡張、機能低下することで、パーソナリティ障害を説明するのが第三部です。
Genome-wide analyses for personality traits identify six genomic loci and show correlations with psychiatric disorders.
Lo MT, Hinds DA, Tung JY, Franz C, Fan CC, Wang Y, Smeland OB, Schork A, Holland D, Kauppi K, Sanyal N, Escott-Price V, Smith DJ, O'Donovan M, Stefansson H, Bjornsdottir G, Thorgeirsson TE, Stefansson K, McEvoy LK, Dale AM, Andreassen OA, Chen CH.
Nat Genet. 2016 Dec 5. doi: 10.1038/ng.3736.

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