ギャンブリング障害と脳、遺伝の関連

 ギャンブリング障害(gambling disorderがDSM-5での正式な名称:ギャンブル依存は俗称)では、ギャンブリング関連刺激で、「やる気」や「行動の開始・維持」にかかわる報酬回路(腹側被蓋~側坐核含む線条体)の活動が高まりやすくなり、他の事柄では活動が高まりにくくなります。また遺伝子の読出しの仕方も変わると推測されています。こうした仕組みは精神刺激薬、アルコール、高スクロール食でも同様です。
 こういうと「脳がギャンブリングの快を覚え、その快を求めてやめられなくなる」などと単純化した解説が横行しがちですが、ある行為で報酬回路の活動が高まり、他の刺激で高まりにくくなるのは、仕事に夢中になっていたり、勉強が楽しくて仕方ない時も同様なので、この仕組みをもってギャンブリング障害と脳の関連を説明した気になるのは間違いです。
 むしろ、つい頑張りすぎる、先を見通すのが苦手、断るのが苦手、さぼり癖がある、つい見栄を張ってしまう、人に相談するのが苦手、生活が以前からうまくできていない、お金の使い方が以前からうまくないなどの背景要因(これらも一定程度は遺伝の影響)が、ギャンブリングにハマるという形であらわれていると見た方がいいと思っています。実際、ギャンブリング障害の遺伝率は50%程度あり、ここには発達的問題なども含まれていると思っています。
 さまざまな精神疾患の脳との関連の研究は、現在、脳の接続性を含む脳スキャンデータやフルゲノムデータを機械学習させ、どの程度の識別力で判別可能かといった時代に突入しつつあります。そこではむしろ疾病の独立性より共通性が取り出されています。ですから、報酬系のふるまい一つや、関連遺伝子のいくつかで説明した気になっても、数年後にはもっと複雑化した形態やモデル式で説明され、場合によっては疾病単位の崩壊も起きうるでしょうから、ギャンブリング障害と脳の関連についてもわかった気にならないように、関連知見を(   )でくるむ姿勢が大事だと思っています。

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