ギャンブリング障害の規模について

 IR法案の審議入りで、いわゆるギャンブル依存(ギャンブリング障害)問題が取り上げられると思われるので、ギャンブリング障害の規模についての基礎データを確認しておきましょう。
 SOGSを使った調査で、国内のギャンブリング障害の疑いのある人が536万人と推測されています(Toyamaら2014)。この件についての諸問題はすでにこのブログで指摘しましたが(http://higeoyaji.at.webry.info/201510/article_17.html)、ここではこの数値をそのままユーザーの負け額分布に当てはめ、検討してみます。
 さて、536万人という数値を、ギャンブリング障害は負け金額と強く相関すると仮定して、われわれのパチンコ・パチスロユーザーの負け額推測に当てはめると、年24万(月2万)の負けでギャンブリング障害の疑いが生じるということになります。月二万の負けで、世の中の人が思い描くいわゆるギャンブル依存が生じているのでしょうか?
 森山氏によれば(2008)、ギャンブリング障害の受診者像の平均は、「20歳でギャンブルをはじめ、28歳で借金を開始、受診は39歳、つぎ込んだ平均1293万」だといいます。約10年で1293万の借金だとすると、年120万くらいになり、遊技時間は月100時間、週25時間くらい(パチンコパチスロの一時間当たりの負けは平均で800円くらい、高めに1000円で見積もる)、約38万人が相当します。このくらいが、一般が思い描くいわゆるギャンブル依存に相当しうる人の数として妥当だと思いますが、いかがでしょうか?
 ところで、この人数はパチンコ、パチスロユーザーの3.3%に相当します。一方、シンガポール住民の調査では年120万円を超えるユーザーは0.3%です。つまり、シンガポール並みの予防対策を行えば、日本でカジノが行われた場合、一般が思い描くいわゆるギャンブル依存相当者数は、日本人の予測カジノユーザー数×0.3%程度と思われます。
 ギャンブリング障害対策は極めて重大な問題ですが、その規模を過剰に過大視することなく、適切な実態把握・予測をし、適切な対策、予算を考えていくべきだと思います。少なくとも国会では「536万人がやめようと思ってもやめられず、借金を繰り返してしまっている」などという誤った前提で議論してほしくないものです。

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この記事へのコメント

2016年12月06日 00:37
SOGSは生涯経験での設問。縦断調査は現状維持か悪化。

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