うつの脳深部刺激は報酬関連回路をターゲットに。してみると院内通貨の使用の自粛は・・・

 脳の深部電気刺激でうつの改善が報告されています。今回はアムステルダム大のクロスオーバー試験による結果。クロスオーバー試験は、被験者を二群にわけ、A群はある期間、その措置を行い、その期間後は措置を行わない。B群は逆で、最初の期間は措置を行わず、次の期間で行い、措置の効果を検証するスタイルの試験。
 vALIC(Ventral Anterior Limb of the Internal Capsule)、つまり、腹側線条体の中や周辺にあって、うつ病で活動が低下することが知られている部位で報酬関連脳回路、を電気刺激すると、25人中10人にうつ状態の改善、具体的にはHAM-D-17スコア(ハミルトンうつ病評価尺度)が半分以下に低下し、その低下は、シャム(偽施術)を行った群より有意に低かったとか。報酬系の刺激はプラセボーやシャムが効きやすいので、有意な効果が検出できたのはなかなかのものです。
 余談ですが、カジノ型デイケアに対する神戸市、兵庫県の対応や、このところの違法賭博問題の余波で、介護施設でモチベーションアップのために使われてきた院内通貨の使用を控えるところが増えてきたとか。ギャンブリング的要素はすべていかがなものかという判断なのでしょうか。
 しかし、院内通貨やリハビリに娯楽性、勝負性を導入することで刺激されるのは、まさにこの報酬関連脳回路。なので、射幸性を抑えることはモチベーションを低下させることにもつながりえます。昔、教育の世界では外的報酬でモチベーションをアップさせるのは邪道と考えられていましたが、内発動機を作るうえで外発動機の利用が有効なのはいまや自明。なんだか歴史の逆行を見ているようです。なにより、修業的なリハビリ、余生は極力勘弁願いたいものです。また、被災者の方が娯楽を楽しんでいるのをみて、支援をうけているのになんだ、みたいな批判が出る社会はいやですね。一時も休まず、ずっとつつましく生きているのは、相当つらいですから。
Deep Brain Stimulation of the Ventral Anterior Limb of the Internal Capsule for Treatment-Resistant Depression: A Randomized Clinical Trial.
Bergfeld IO, Mantione M, Hoogendoorn ML, Ruhé HG, Notten P, van Laarhoven J, Visser I, Figee M, de Kwaasteniet BP, Horst F, Schene AH, van den Munckhof P, Beute G, Schuurman R, Denys D.
JAMA Psychiatry. 2016 Apr 6. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2016.0152. [Epub ahead of print]
PMID: 27049915

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