海馬のナビゲーションシステムあれこれ

 哺乳類は海馬や海馬膨回などを基盤として自分の位置を把握するナビゲーションシステムを持つことが知られています。そして移動中にはこのシステムを使って自身の位置を追跡し続けていることがわかっています。生き物にとって場所の記憶は大事で、場所を覚えるために海馬があるという側面もあるわけで、ゆえに移動中は記憶がしやすいといった話もあります。
 しかし、動物が移動をやめたときにも脳は自分の位置を把握しているのか、よくわかっていませんでした。カリフォルニア大のL Frankらは、↓で海馬のCA2領域に独特なニューロン群があり、覚醒して不動状態にあるときでも睡眠中でも現在位置の信号を発していることを明らかにしたそうです。
A hippocampal network for spatial coding during immobility and sleep
Kenneth Kay, Marielena Sosa, Jason E. Chung, Mattias P. Karlsson, Margaret C. Larkin & Loren M. Frank
Nature 531, 185–190 (10 March 2016) doi:10.1038/nature17144
 ↓はカリフォルニア大デーヴィス校の研究。コンピューター画面上で「瞬間移動」を起こし、そのときの脳活動を調べたもの。被験者は治療のための電極が埋め込まれていて脳波が計測できるてんかんの患者さん。空間のナビゲーションでは海馬周辺の低周波律動(デルタ/シータ波)が重要な役割を果たすことがわかっているが、これが、移動中の知覚変化に依存するのか、外界の知覚とは関係のない記憶が重要なのかを明らかにするための研究。
 結果、テレポーテーション中、脳波変化は起こらず、移動した距離を認知することによって低周波律動が変化したとのこと。これは空間ナビゲーション能力は、脳内の記憶と学習過程のみによって発生していることを示唆しているそうだ。
Neuron. 2016 Feb 23. pii: S0896-6273(16)00092-1. doi: 10.1016/j.neuron.2016.01.045. [Epub ahead of print]
Oscillations Go the Distance: Low-Frequency Human Hippocampal Oscillations Code Spatial Distance in the Absence of Sensory Cues during Teleportation.
Vass LK, Copara MS, Seyal M, Shahlaie K, Farias ST, Shen PY, Ekstrom AD.

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