双極性障害はギャンブル障害の除外項目ですが、そのエンドフェノタイプの話

 ギャンブル障害(いわゆるギャンブル依存)にはそのチェックリストに該当しても、いくつか除外項目、つまり以下ならばチェックリストに当てはまってもギャンブル障害とはしないという項目があります。DSM、ICDで異なりますが、双極性障害、パーキンソン病などドーパミンアゴニストの使用、社交的ギャンブラー、職業的ギャンブラー、痛い目に合うと自己コントロールするギャンブラーがそれで、発達障害、高次脳機能障害、うつ、統合失調症、サイコパスなどは併存、または先行障害として扱われることが多くなります。
 さて、👇は双極性障害の話。いわゆる躁うつ病で、この「そう状態」で気が大きくなりギャンブルにはまりやすくなったりします。双極性障害は「うつ」と同類にとらえられがちですが、どうやら生物学的には異なるらしく、いわゆる抗うつ剤では悪化するケースも出てきます。リチウムが古くから双極性障害の治療薬として用いられ、比較的効果を示す場合が多いのですが、リチウムが有効でないケースがあることは経験的に知られていました。
 今回、ソーク研究所のF Gageらは、リチウムが効く双極性障害患者と効かない患者に由来する誘導多能性幹細胞(iPSC)から海馬歯状回様ニューロンを作製し、その活動を調べました。結果、いずれの双極性障害の患者のiPSC由来ニューロンでは、ミトコンドリアの異常が認められ、過興奮性が観察されました。そしてこの過興奮性はリチウムが効く患者由来のニューロンでのみリチウム投与によって回復したそうです。
 海馬歯状回の過興奮が双極性障害の早期エンドフェノタイプ(遺伝子と病気という表現型の「中間」に存在するその精神障害において認められる特徴的な神経生物学的な障害)である可能性が示され、iPSCモデルが新しい治療の開発に役立つことが示されたわけでもあります。
 余談ですが、様々な精神障害に遺伝要因が大きいことは双子研究、家族研究などから推測されていますが、ゲノム解析になった途端にはっきりしないデータが出やすく、遺伝子と病気の中間型、エンドフェノタイプが重要だと考えられてきています。ギャンブル障害にも重要なエンドフェノタイプが存在するでしょうし、そこにはタイプがあり、また適切なタイプが異なるものと想定されます。
Differential responses to lithium in hyperexcitable neurons from patients with bipolar disorder
Jerome Mertens, Qiu-Wen Wang, Yongsung Kim, Diana X. Yu, Son Pham, Bo Yang, Yi Zheng, Kenneth E. Diffenderfer, Jian Zhang, Sheila Soltani, Tameji Eames, Simon T. Schafer, Leah Boyer, Maria C. Marchetto, John I. Nurnberger, Joseph R. Calabrese, Ketil J. Ødegaard, Michael J. McCarthy, Peter P. Zandi, Martin Alba, Caroline M. Nievergelt, The Pharmacogenomics of Bipolar Disorder Study, Shuangli Mi, Kristen J. Brennand, John R. Kelsoe , Fred H. Gage & Jun Yao l.
Nature 527, 95–99 (05 November 2015) doi:10.1038/nature15526

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