ほー、記憶がシナプスの連結変化とは独立?

キャンデルらはアメフラシの神経を使って、条件反射の仕組みと長期記憶の仕組みを明らかにしました。海馬でよく発現するCREB(後述)というタンパク質が転写を活性化して特定タンパク質を生成させ、それが長期記憶にかかわるというものです。
 通常、この変化はシナプスで生じると考えられてきましたが、おなじくアメフラシの神経を使った実験の結果↓、学習に関連したシナプス成長を除去しても長期記憶は維持されることが示され、長期記憶の保管とシナプス変化は切り離しうることが示唆されました。今回の結果によるとアルツハイマー病でシナプスが壊れても記憶が失われるとは限らず、神経が残っていれば記憶はとどまり、アルツハイマー病初期の記憶回復は可能かもしれません。
 2000年にノーベル賞を受賞したキャンデルらの成果を復習しておくと、彼らは尾の刺激を伝達する介在神経軸索終末で放出されたセロトニンが、感覚神経軸索終末でGタンパク連結型受容体を介してアデニル酸シクラーゼの活性化を引き起こす。→サイクリックAMP産生→プロテインキナーゼAの活性化→感覚神経終末のKチャネルをリン酸化→チャネルの構造を変え、Kチャネルを閉じる。→脱分極が長く続く。→電位依存型のCaチャンネルが長く開く→伝達効率が良くなる→えら引き込み反射の過敏性が生ずる。
 さらに感覚神経刺激が介在神経刺激より0.5秒程度先行→電位依存性Caチャンネルが開く→Caイオンの流入→カルモジュリンを介し、セロトニン放出・Gタンパク連結型受容体によるアデニル酸シクラーゼ活性を増強→cAMPはより多量に生成→条件反射が完成する。これが短期記憶の形成。
 一方、長期記憶を引き起すのがCREB (cAMP response element binding protein)というタンパク質。プロテインキナーゼAによりセリン残基がリン酸化→活性型→転写を活性化し特定タンパクを合成する。CREBはヒトで特に海馬で強く発現。
Reinstatement of long-term memory following erasure of its behavioral and synaptic expression in Aplysia
Shanping Chen, Diancai Cai, Kaycey Pearce, Philip Y-W Sun, Adam C Roberts, David L Glanzman
DOI: http://dx.doi.org/10.7554/eLife.03896
Published November 17, 2014
Cite as eLife 2014;3:e03896
- See more at: http://elifesciences.org/content/3/e03896/article-info#.dpuf

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