ゲームの中で悪役を演じるとちょい悪になる

 テレビの暴力シーンが子どもの暴力肯定感を強化したり、ゲームでの暴力的参加が攻撃性を増すことが報告されています。たとえば坂元らはテレビゲームで遊ぶ群、テレビゲームが進行していく画面を単に視聴する群、赤毛のアンなどの中性的な映像を見る対照群に、別な実験だと称して、他人に電気ショックを与えてもらったところ、テレビゲームで遊んだ群が、他人により長く電気ショックを与えていたそうです。
 イリノイ大学のグンウー・ユーンらは、↓の研究で、194人の大学生に、スーパーマン、ヴォルデモート卿、またはただの「丸」という3つのアヴァターのひとつをランダムに割り当て、そのアヴァターとして5分間、ゲーム内で敵と戦ってもらいました。
 そして、ゲーム終了後、被験者は目隠しをして、チョコレート味とトウガラシ味の飲み物を味見してもらいました。それから、隣にいる被験者に、チョコレート味かトウガラシ味のどちらか一方を渡すよう頼みました。このとき、その飲み物を渡された人はすべて飲みきらなければならないことになっていると伝えます。
 その結果、スーパーマンだった人は、ヴォルデモート卿だった人との約2倍の確率で、相手にチョコレート味を渡していました。被験者の多くが、自分の行動にはアヴァターからの影響はないと述べていたにもかかわらずです。
 泣くからかなしいのか、悲しいから泣くのか、古くからの課題ですが、泣くからかなしい、認知は身体の影響を受ける、認知は身体化している、というのが現在では定説化しています。その役を演じるという「行動」は強力な模倣効果を生む可能性があることをもっと認識すべきだというのが、研究者の見解です。もっとも、ちょい悪なのか、極悪なのかはこの研究からだけではわからないことは忘れてはいけませんが。
Psychol Sci. 2014 Feb 5. [Epub ahead of print]
Know Thy Avatar: The Unintended Effect of Virtual-Self Representation on Behavior.
Yoon G, Vargas PT.

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この記事へのコメント

ありた
2014年02月22日 19:43
貴重な情報の提供、ありがとうございます。
質問したいことがあります。篠原先生はワーキングメモリー研究の専門家でいらっしゃるので質問したいのですが、思考する際、同時に別々のことについて考えることもワーキングメモリーの大変有効な訓練になると思われませんか?例えば明日の予定について考えながら今日読んだ本の内容の感想を考える。実は私も暇な時にやります。負荷が高いからか同時思考の持続時間は2、3分くらいしかないのですが、慣れていくと脳、ワーキングメモリー等の強化になると思われるでしょうか?

あと以前、先生の本で、ふたつの物の共通点を見つけてみるトレーニングがありました。これは脳の抽象化機能を鍛えるものになりますか?やってみようかな、と思っています。
はげひげ
2014年02月22日 20:28
運動と思考の同時並行は可能で、軽度認知障がいでの有効性が報告されていますが、思考面では同時というより、入れ子的思考の方が日常生活時でのトレーニングにはなりやすいと思います。
抽象とは捨象して共通点をつくりだすことでしょうから、役に立つと思います。
ありた
2014年02月22日 22:01
ありがとうございます。大変参考になります。抽象化訓練やっていきます。
入れ子的思考について、私の知識不足ですみません。少しネット検索してみたのですが他の記事の中でわかりやすいものがありませんでした。例を上げるとすればどのような感じのものでしょうか?
はげひげ
2014年02月25日 00:18
たとえば、「桜」「猫」「電車」を覚えて、100から7を二回引き、682を逆から言い、3529も逆から言って、覚えた三つの単語を思い出す、といった課題です。ちなみにこの問題は認知症のスクリーニングテストの一部(長谷川式)。並行思考と言えば並行思考ですが、入れ子的と言えば入れ子的。
ありた
2014年02月25日 20:18
ありがとうございます。苦手なタイプの問題です。あらかじめ問題のスタイルがわからずに出題されると苦手です。最後に最初の三つの単語を思い出す必要がある、とわかっているならできそう。
お忙しい中、お返事感謝です。

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