統合失調症の新薬の可能性

 統合失調症は、ルーラン、エビリファイなど、主にドーパミンとセロトニン神経系に作用して陽性症状と陰性症状の両方に効果が期待されている新規抗精神病薬の出現によって、学校現場などでずいぶんと社会適応がよくなってきているように感じます。↓の研究はさらに新しい切り口での創薬につながる研究で、1%弱は出現する統合失調の改善へ期待が高まります。
 大脳皮質には、周囲の神経細胞の活動を同期させ脳の活動に周期性を与えることで、情報処理を促進する機能があります。その役割を担う一つが他の神経細胞の活動を抑制する「パルブアルブミン陽性細胞」です。今回、統合失調症の患者さんの死後脳で低下が確認された「KCNS3」は、このパルブアルブミン陽性細胞の膜に存在する分子で、細胞の中と外をつないでカリウムイオンを通すゲート、つまり「カリウムイオンチャネル」を構成し、周期性を持つ脳活動の形成に役立っていると考えられるそうです。余談ですが、「抑制性ニューロン」の役割は大きいらしく、たとえば臨界期(そのことを覚えるのに適した時期)には抑制性神経系の活動が不可欠なことも知られています。
 さて、↓では統合失調症患者22名と性別や年齢をマッチングさせた健常者22名の死後脳から前頭前野の部位を切り出し比較し、統合失調症ではKCNS3の発現量が23%ほど低下していることを示しました。また、別の統合失調症患者14名と健常者14名の前頭前野のパルブアルブミン陽性細胞ではKCNS3の発現が41%ほど低下していたのだそうです。KCNS3をターゲットとした創薬の可能性が示されたわけです。ほんと、頑張ってほしいと思います。
Am J Psychiatry. 2013 Oct 30. doi: 10.1176/appi.ajp.2013.13040468. [Epub ahead of print]
Lower Gene Expression for KCNS3 Potassium Channel Subunit in Parvalbumin-Containing Neurons in the Prefrontal Cortex in Schizophrenia.
Georgiev D, Arion D, Enwright JF, Kikuchi M, Minabe Y, Corradi JP, Lewis DA, Hashimoto T.

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