自分でくすぐってもくすぐったくない

 「ひとにくすぐられるとくすぐったいのに、どうして自分でくすぐるとあまりくすぐったくないのですか?」、夏休み子ども相談では定番質問の一つです。実際、1971年のネイチャーで取っ手を引くと足の裏をくすぐれる装置を使って、その取っ手を他人が引っ張った場合と自分がひっぱた場合のくすぐったさの主観的評価が報告され、他人がくすぐった方が有意にくすぐったいことが確かめられています。また、体性感覚野の活動も他人にくすぐられた方が大きくなります。
 ブレイクモアらは、くすぐるという運動命令が感覚運動系に送られ、手が体をくすぐると手の皮膚受容器から感覚フィードバックとして中枢に戻ってくる。一方で、運動命令から分岐した遠心性コピーが予測器に入り、戻ってきた感覚フィードバックの予測信号を作る。この実際と予測の信号誤差が中枢で「くすぐったさ」として感じる。そして自分でくすぐる場合のは予測が正確で予測と実際との信号誤差が小さいのでくすぐったくないと考えました。
 そしてこの場合の予測器は小脳にあると考えられてきましたが、実際のくすぐり実験では他人のくすぐりによる場合の方が小脳の活動が大きく、小脳が予測器として働くならむしろ自己くすぐりでより活動が高まるのではないかと矛盾が指摘されてきました。しかし、↓の研究で、小脳が損傷すると動作の結末予想や四肢/関節の位置認識が障害されることが示され、やはり小脳が予測器として有力であることがあらためて示されたわけです。たとえば前頭葉などはしようとしていることがうまくいかないようなときに活性化する傾向にありますから、他人くすぐりでの小脳の活性化も、うまく予測器として活動しにくいが故の活性化ということなのかもしれません。
J Neurosci. 2013 Sep 4;33(36):14301-6. doi: 10.1523/JNEUROSCI.0784-13.2013.
Predictive modeling by the cerebellum improves proprioception.
Bhanpuri NH, Okamura AM, Bastian AJ.
Source
Departments of Biomedical Engineering, and Neuroscience, The Johns Hopkins School of Medicine, Baltimore, Maryland 21205, Kennedy Krieger Institute, Baltimore, Maryland 21205, Department of Mechanical Engineering, The Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland 21218, and Department of Mechanical Engineering, Stanford University, Stanford, California 94305.

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