オピオイドは慢性的な痛みも抑制する。ストレスがこの抑制を解いてしまう。

 人を含む哺乳類は傷を受けると内因性の麻薬用物質を放出することで急性的な痛みを和らげる。ケンタッキー大学のコーダーらは慢性的な痛みに対しても麻薬用物質が驚くほど長期的持続的にかかわることで痛みのコントロールをしていることを見出した。
  これまで科学者たちは脊髄で麻薬用物質がどのように痛みを和らげるかを調べてきた。たとえば、患者が手術を受けるとき、兵が戦いで傷を負った時、あるいはアスリートがマラソンを走るとき、麻薬用物質がその受容体に作用して痛みのシグナルを脳に送るのに待ったをかける。また麻薬用物質の受容体をブロックすると、傷を負った直後に起きる急激な痛みが増すことも知られている。しかし、受容体のブロックが慢性的で長期的な痛みの増加を促すかは明らかではなかった。
 そこでコーダーらはマウスに炎症を起こしたり、皮膚の切開を施したりして、数週間、痛みを示す兆候が消えるのを待った。それから麻薬用物質の受容体(μオピオイド受容体)をブロックしたところ、痛みが軽減した様子が消え、震え、ジャンプ、不自然な動きなど麻薬の禁断症状に似た症状が現れ六か月半続いた。 つまり、急性的な痛みが消えた後も麻薬用物質による痛みの抑制が長期にわたって続いていることになる。急激な痛みが癒えた後も麻薬用物質によるシステムが慢性痛に待ったをかけ続けているわけだ。そしてこの働きを止めると痛みが加速して慢性痛が現れる。
 ストレスが麻薬の依存のぶり返しのきっかけになるように、ストレスがかかると慢性痛がぶりかえしやすいのは、このメカニズムが背景にあるのかもしれない。もしかすると依存状態というのも一種の慢性痛の抑制状態で、それゆえ依存には苦痛が伴うのかもしれない。
Science. 2013 Sep 20;341(6152):1394-9. doi: 10.1126/science.1239403.
Constitutive μ-opioid receptor activity leads to long-term endogenous analgesia and dependence.
Corder G, Doolen S, Donahue RR, Winter MK, Jutras BL, He Y, Hu X, Wieskopf JS, Mogil JS, Storm DR, Wang ZJ, McCarson KE, Taylor BK.
Source
Department of Physiology, University of Kentucky, Lexington, KY 40536, USA.

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