男性ホルモンは公平さ、正直さを増す。

 ふつう男性ホルモンは攻撃性などにかかわると考えられています。実際動物実験では男性ホルモン投与で攻撃性が増すなどの報告が多くありますが、人ではむしろ公正さ、正義感、正直さを増すようです。
 たとえば、男子学生178人を、風景の写真を見て評価するグループ、セクシーな女性の写真を見て評価するグループ、ただ高齢女性の写真を見るグループ、若い女性の写真を見るグループ、ランジェリーの品質を評価するグループ、生地の品質を評価するグループに分け、それぞれの課題を行ってもらいます。
 その上で、最後通牒ゲームを行ってもらいます。最後通牒ゲームは提案者に渡されたお金を提案者と応答者で分けるもので、たとえば一万円を分けるとき提案者は応答者に渡す金額をいくらにでも決められます。0円でもいいし、一万円でもいい。これが最後通牒になって、応答者はこの提案を受け入れるか、受け入れないかを決めます。
 論理的に考えれば、応答者はたとえ一円の提案であってもお金がもらえるわけですから、提案は受け入れた方が得です。しかし実際にゲームを行うと、あまりに低い額の提案だと応答者が不公平に感じ拒否します。一般的には総額の三分の一以下の提案だと拒否が多くなります。
 で、この最後通牒ゲームをしたところ、セクシーな女性かランジェリーの写真を見たグループは、ほかのグループに比べ不公平な提案でも受け入れてしまう傾向にありました。しかも胎児期にアンドロゲン(男性ホルモン)暴露量が多かったと考えられる、人差し指の長さ÷薬指の長さ、が小さい男性では、この傾向が強かったそうです。
Van den Bergh B, Dewitte S. Digit ratio (2D:4D) moderates the impact of sexual cues on men's decisions in ultimatum games. Proc Biol Sci. 2006 Aug 22;273(1597):2091-5
 実際、男性ホルモン投与実験で、最後通牒ゲームでの公平さが増すとか、最近の報告では、健康な男性91人が参加したプラセボ対照二重盲検実験では、テストステロン経皮投与で他人の目が届かない環境での模範的行為がまし、正直さが増したのだとか。
Testosterone Administration Reduces Lying in Men. PLoS ONE 7(10): e46774. doi:10.1371/journal.pone.0046774
 女性にも男性ホルモンがあり、女性の舌下に0.5ミリグラムのテストステロン(男性ホルモン)を投与する実験では(この量は血液中のテストステロンを約10倍に上昇させる量です)、疑りが増すことも報告されています。この実験は、投与前後で、顔写真を何枚か見て、その人がどの程度信用できるかを評価しました。結果、テストステロン投与後は信頼度が半減しました。特に、その影響が強かったのは、ふだんから騙されやすい女性だったそうです。つまり、テステステロンはだまされやすさを減らし、疑り深さを増す働きもするのです。テステステロンが疑り深さを助長するということは、いかにも剛腕なタイプは「案外」ではなく、「当然」疑り深いということになるのかもしれません。
 これらの示す「男っぽさ」はいわゆるシステム化志向に近いと言えば近いですね。
Bos PA, Terburg D, van Honk J. Testosterone decreases trust in socially naive humans. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Jun 1;107(22):9991-5

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック