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zoom RSS ゲーム障害が国際疾病分類(ICD11)に、注意点いくつか

<<   作成日時 : 2018/01/10 22:18   >>

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 今年改訂される国際疾病分類11版(ICD11)のβ版(https://icd.who.int/dev11/f/en#/http%3a%2f%2fid.who.int%2ficd%2fentity%2f1448597234)にGaming disorder(ゲーム障害)が、Gambling disorder(ギャンブル障害)と並びDisorders due to addictive behaviours(嗜癖障害)に分類されるということで話題になっている。すでに2013年にはDSM-5でインターネットゲーム障害が今後研究に値する障害候補として示されているが、これがICD11で正式に採用されるわけだ。
 ここで注意しておきたい点が二つある。
 ひとつはギャンブル障害で指摘されてきた自然回復率の高さだ。諸外国のデータではかつでギャンブル障害であったが、特に治療、相談をしたわけではなく、今は問題がなくなった人(ギャンブルを健康的に続けている人もいる)が4-5割おり、日本のぱちんこではこの自然回復率が8割に及ぶことである。つまり、ギャンブル障害について進行性で不可逆的、一度たくあんになった脳は大根に戻らない、などといった言説が流れているが、そうである比率はせいぜい2割程度(重症度の高いものはさらにその2割で4%くらい)と予測され、おそらくゲーム障害の自然回復率もぱちんこに準じるか、もっと高い可能性がある点である。
 もう一つは、ICD11の定義ではギャンブル障害もそうだが、over a period of at least 12 months in order for a diagnosis to be assignedと表記されており、ある12か月(a period of at least 12 months)ゲーム障害の特徴を満たすとゲーム障害とみなすことになっていることである。つまり、これまでにゲーム障害であったことがあるかを調べる形式になっており、ICD11に基づく調査が行われ、〇〇万人がゲーム障害の疑い、となったときの疑いは生涯のどこかでの疑いであり、今の疑いではない。上記の高い自然治癒率を考えれば、直近一年間での有障害率を示すべきで、それは上記のように○○人より大幅に減ると推測される(その4%くらい?)。
 今後、ゲーム障害関連報道や調査報告がマスコミ誌上等をにぎわすかもしれないが、情報の提供側、受け取り側ともにこの辺りの事情はよくよく踏まえたうえでミスリードしたり、ミスリードを拡散したりしないように努めてもらいたいと思う。ピアサポートグループであるギャンブラーズ・アノニマス(GA)では「Compulsive gambling(強迫的ギャンブル)」を採用しており、強迫的ギャンブルを慢性的で進行的、不可逆的な病気(illness)とし、診断できるのは当事者自身のみであり、(当事者同士や医療関係者を含め)他者が診断することは想定していない。これとICD11での定義やDSM−5を混同してはならない(ゲーム障害でもギャンブル障害でも)。

 さて、これから紹介するのは、北米放射線学会(RSNA 2017、11月26日〜12月1日、米シカゴ)での報告。インターネットやスマホに依存している10代では脳の代謝に差があるとするもの。この研究は学会発表なので予備的なものであるし、また、査読が通って論文化したときでも、読み解き方を誤っていはいけないので紹介する。
 高麗大学(韓国)のHyung Suk Seo氏らが実施。インターネット依存症またはスマホ依存症と診断された10歳代の男女19人(平均年齢15.5歳)と、年齢および性をマッチさせた依存症のない健康な男女19人の比較。MRスペクトロスコピー(MRS)で、脳内のグルタミン酸、GABAなどの活性レベルを評価。
 結果、依存症患者ではグルタミン酸-グルタミン(Glx)に対するγアミノ酪酸(GABA)の活性レベルの比が高かったそう。Glxは興奮性、GABAは抑制性なので、依存症者は抑制性に問題が生じているのかもしれない。
 こう書くと、スマホやネット使用で脳の抑制系に障害が生じる、と短絡されがちだが、研究者も指摘しているように、この研究は相関研究であって因果を示すものではない。もともと抑制性の問題がある人が依存症になりやすいのかもしれないし、そういう性質を持つ人がより強化されてこういう結果になったのかもしれない。あるいはまったく別の因子がGABA活性と依存症を発現させているのかもしれない。
 たとえば、身体的な虐待や言葉による虐待が子どもの脳のある部位を萎縮させたり、逆に厚くさせたりすることが報告されているが、こちらは重症度との相関が調べられているので多少ましではあるが、それでも相関研究に過ぎず、因果は議論しきれない。
 予防的にネット、スマホ、ゲームに制限をかけることには賛成だが、だからといって制限を後押しする間違ったロジックが展開されていいわけではない。

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ギャンブル障害でも、ゲーム障害でも、そもそもICDやDSMの診断基準に当事者本人の主観が含まれるため、調査した時点のギャンブルやゲームへの社会的イメージが過去の重症度や有病率に影響を与え、生涯の有病率が数年で変動しても不思議じゃない、と最近はとらえるようになりました。生涯の有病率は扱わないでほしい、ホント…
フェネック
2018/01/10 23:34

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